第5話

そしてその日。


 「すごーい、お客さん大入り」


 ステージ裏でステージ衣装に身を包んだシミアンズがステージの上で踊っているコールボーイの映像を見つついった。


 「私たちの時とまったく違うわね」


 「人気なのね、コールボーイって」


 このくらい大勢の前で踊るのか・・・。


 「シミアンズさん、そろそろスタンバイお願いしまーす」


 「「「はーい」」」


 シミアンズはスタンバイした。


 そして・・・。


 「「「せーのっ!」」」


 コールボーイのバックに三人そろって飛び出すシミアンズ。


 見たこともない大観衆の前で。


 暗闇の中で観客が振るうペンライトやサイリウムは夜の戦場に掲げられたたいまつの火のように見えた。


 大勢の前でのダンスに緊張し、とちったりこけたりした。


 「何だ?あの新米アイドル」


 「ぜんぜんだめじゃないの!」


 客が一人また一人と帰っていった。


 終わるころには会場はガラガラになっていた。




 「君たちのせいだぞ、このサル娘ども!」


 コールボーイがシミアンズに怒った。


 「仕方ないでしょ、あれほどの人の前で踊ったの初めてだったんだから!」


 シミアンズがいうと


 「もう君たちのバックダンサーは拒絶するよ」


 といってコールボーイはどこかにいってしまった。

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