閑話 ポテト
追っかけ君と野外パークに行ったその後。
2日間ぐらいおれはホテルでのんびり過ごしていたのだが、その間、印象的な出来事があった。
それはいつもより少しバイキング会場に来るのが遅くなってしまった日のことだった。
寝起きのおれは急いでいた。
なぜなら、ホテルのバイキングは、天国の提供らしく、24時間営業なのは良いが、11時で朝食メニューから昼食メニューに変わってしまうからだ。
幸い、なんとか間に合って、おれは朝食を確保することができたのだが、
その出来事は、おれが食パンを半分ほど食べ進めて、コーンスープに手を伸ばした時に起こった。
おれがコーンスープを飲もうとスプーンをもって視線をそちらにやると、一組の親子が食事を取りに行っているのが視界に入った。
6歳ぐらいの幼い子供がフライドポテトのところに行って、それを取ろうとしているところだった。
しかし、子供がポテトを取ろうとした瞬間、フライドポテトは、細長いカリカリタイプのものから、ピザ屋などによくある分厚いタイプに変わってしまったのだ。
子供は「おかあさーん、ポテト変わっちゃった〜」と言い、お母さんも「そうねぇ。変わっちゃったね〜」と言った。
おれは少し微笑ましいなと思ってそのやり取りを見ていたのだが、急に子供が、「前のポテトの方が良かった。」とぐずり出した。
お母さんは「しょうがないでしょ、我慢しなさい。」と言っているが、
これは子供がぐずり出してお母さんが怒りだすパターンだ、と思い、おれは戦々恐々としていた。
次の瞬間、やはり子供は「前のがいい前のがいい!」と泣き喚き出した!
あーあと思いながら俺は眺めていたのだが、しかし、お母さんはこう言った。
「しょうがないわね。じゃあ、75階のレストランに行きましょう。あそこなら翔ちゃんの欲しいポテトがあったと思うから。」
おれは、これが天国か、と戦慄した。
天国ってこういうところがあるのはすごいと思うと共に、怖いとも思う。
子供のワガママがああやって通ってしまうから、甘やかして育てた箱入り娘のように、ワガママな子に育ってしまわないか、親の腕の見せ所だと思う。
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