2024.10.29 「ジャッカルの日」('73)



 午後ローのX(旧Twitter)公式アカウントがポストしたあらすじはこちら。

「大統領暗殺の依頼を受けた孤高の殺し屋ジャッカル。

果たして、フランス警察は計画を阻止できるのか!?

サスペンス・アクションの傑作!」


 いや、これ、あらすじが簡単すぎる……。


 もう少し詳しいあらすじ。

 「舞台は、1960年代フランス。シャルル・ド・ゴール大統領暗殺を企てる武装組織『秘密軍事組織(OAS)』が雇った、謎の暗殺者ジャッカルと、大統領暗殺を阻止しようとするフランス警察の追跡を描いた」フレデリック・フォーサイスの小説が原作。この辺の事前情報は必要かも。

 (原作者のフォーサイス、MI6の手伝いをしたことがある、とか言ってたり、いろいろ逸話があって、彼の経歴もなかなか面白い。真偽のほどは定かでないけども。)


 ちなみに、Wikipediaを確認したら、'97年にハリウッドで制作された「ジャッカル」は、リメイクっていうより翻案みたい。(ちなみに、こちらのリメイク版は何回も見たことある。そして、リメイク版は、オリジナルと比べたら、めちゃくちゃエンタメ路線に変更されたものだ、と聞いているので、なおさらオリジナル版が見たかった。)


 シャルル・ド・ゴール。

 私からすると「空港の名前」ってイメージなんだけど、フランス大統領の名前なんですよね。海外の空港、人名由来のところは結構ある。


 というわけで、ずっと楽しみに待っていた「ジャッカルの日」、書いていきます。




 まず、車や衣装がおしゃれ。初っ端から、そこにびっくりした。公開が’73年だから、60年代フランスを再現できる小道具が用意できたんでしょうね。

 インテリアに至るまで、徹底して空気感が再現されている感じがする。

 それに加えて、映像や演出が古臭く感じない。それだけ完成度が高い作劇。素晴らしいの一言。


 孤高の暗殺者「ジャッカル」、スマートで美しい顔の男。

 対する、フランス警察のルベル警部のビジュアルは、冴えないおじ様。

 でも、そんなルベル警部は、仕事がめちゃくちゃできる。ハニートラップにかかって、捜査情報を漏らしていた幹部を曝し出した時の、淡々とした受け答えがとにかくいき。カッコよすぎてしびれた。


 計画性を持って、巧妙に出し抜いてきた「ジャッカル」だけども、ルベル警部が率いる捜査網にだんだんと追い詰められ、計画に狂いが生じてくる。

 そんな時、タクシーに乗った「ジャッカル」が、自分を追う警察車両とすれ違うシーン。警察車両が通りすぎるのを横目で見送る、その無言の佇まい。


 溜め息が出ちゃうよ、演技も展開も見事すぎて。


 そして、暗殺対象である大統領は、しばらく公の場に出ることを控えていたのだけど、国家的な行事である「解放記念日」はどうしても表に出ることになる。それが、「ジャッカル」の暗殺決行日であると睨んだルベル警部。

 果たして暗殺は決行されるのか――それとも、ルベル警部が「ジャッカル」を追い詰めるのが先か――?



 最後の最後までスリリングな展開。手に汗握るとはこのこと。

 リメイク版は有名な俳優さんを揃えて、エンタメに振り切ったけど、こっちのオリジナルは素材で勝負している。

 それがまた最高に上手い。どう考えても、このオリジナル版の良さは、唯一無二。


 映像とロケーション、もう兎にも角にもおしゃれ。

 登場人物の会話が逐一、おしゃれ。おしゃれの塊。でもぎっちり中身が詰まっているという奇跡。


 こんな完成度の高い映画を、今まで一度も見てこなかったのを悔やむレベル。

 本当に今回、見られて良かった。


 どうやら映画はフルで2時間半あるらしいので、ところどころ話が飛んでたのが、ちょっと残念。まぁ、地上波で流すとそうなっちゃうね。


 リメイク版は、全く別物だとよーくわかった。あれはあれでいいんだけど。

 

 こういう作品との出会いがあるから楽しい!

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