高校1年生⑬

放課後、ホームルームが終わり教室を出ると、思いもよらない人物が私に声をかけた。


「あさひ、少しいいですか?」


「・・・っ!夜琉くん!」


本日2回目の彼の姿にびっくりして、声が少し大きくなってしまった。


「ど、どうしたの?」


「あさひ、来週の夏祭りは誰かと行かれる予定はありますか?」


7月21日に毎年行われる地域の夏祭り。


夜琉くんと出会ってからはずっと一緒に行っていたため、今年ももちろん予定は空けている。


「ううん!夜琉くん誘うつもりだったんだけど、なかなか誘うタイミングがなくて…」


「良かった。おれも、あさひを誘おうと思っていたんです。それじゃあ21日の18時頃に、あさひの家に迎えに行きますね」


「うん!ありがとう!あ、そういえば私、ついにスマホを買ったの!」


4月からアルバイトを始めてコツコツ貯めたお金で、私は先日ようやくスマホを買った。


始めてのスマホは使い方が分からず、母と槇井くんに色々と教えてもらった。


「夜琉くんの電話番号と、LIFEメッセージツールのアカウント教えてもらってもいい?」


「はい。おれのアカウントはこれです」


夜琉くんが出してくれた二次元コードを読み込むと、私のフレンドリストに夜琉くんのアカウントが追加された。


「電話番号は後程メッセージでお送りしますね」


「うん!ありがとう!」


これで会えなくても夜琉くんと会話ができる!


そう思って喜んでいたら、「これでいつでも会話できますね」と夜琉くんも同じように思ってくれていたとわかって、ますます嬉しくなった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る