高校1年生⑩
「あさひ、学校には慣れましたか?」
「うん!相変わらず授業に付いていくだけで大変だけど……。」
昼休みは夜琉くんと唯一ゆっくり過ごせる幸せの一時。
いつも通り中庭で一緒に食べながら、お互い近況を話す。
「え、生徒会から勧誘!?」
「はい。もともと会計担当だった人が最近引っ越しで抜けてしまい、人手不足のようで」
人手不足とはいっても、だったらほかの3年生とか2年生から選ぶのが普通だと思う。
新入生の夜琉くんに頼むなんて、それほど夜琉くんは優秀だと認められている証だ。
「それで、夜琉くんはその勧誘受けるの?」
「はい。いずれ生徒会長になりたいと思っていたので、いい機会かと」
「そっか……。すごいね夜琉くん。」
この学校は基本的に生徒主体で行事の準備を行うため、生徒会は他の学校よりもやることが多く、かなり忙しいと聞いた。
大丈夫かな、というような心配は、きっと夜琉くんなら不要だろう。
「そうえば、あさひは部活動は入られるのですか?」
「ううん。私、放課後はバイトするつもりなんだ」
中学までは陸上部に入っていたが、高校生になったらバイトをしようとずっと考えていた。
「そうなんですね。バイト先はもう決まっているんですか?」
「それがまだなんだよね。本当は先週から探そうかと思ってたんだけど、補習でバイト先探す時間潰れちゃったから。今日から探すんだ」
できれば学校と家の中間くらいにあるバイト先が良い。
あ、そういえばバイトに応募するためには履歴書を買わないと。
そう考えていると、「バイトも良いですが、勉強も疎かにならないよう、ほどほどにしてくださいね」と心配そうに夜琉くんが言った。
「うん!学生の本分は勉強だもんね」
「はい。あ、毎日宿題を出されていますが、大丈夫ですか?もし分からないところがあれば、おれが教えますよ」
「それなら大丈夫!私の隣の席の槇井くんって人から分かんないとこは見せてもらうから!」
「槇井くん…?」
「うん。授業中ずっと寝てるんだけど、すっごい頭良いの」
「……その人って、
「そうそう。あれ、夜琉くん知りあい?」
私がそう尋ねると、夜琉くんは目を逸らしながら「まぁ…知り合いの知り合いです」とだけ言った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます