高校1年生⑥
「えー、それじゃあ今配った昨日のテスト結果、70点以下だった者は今日から一週間補習があるからな」
翌日、先日受けたテスト用紙がさっそく採点されたものをみると、予想通り62点だった私。
え、ちょっと待って。補習の基準高すぎません?
普通こういうのって20点~40点以下とかが補習対象でしょ!?
「ちなみにこのクラスで補習になったものは2名だ。その2人は今後しっかり勉強に励むように」
……まじですか。
みんな、頭良すぎでしょ!
さすが名のある進学校なだけある。そう考えると、こんなレベルの高い学校に入れた私って天才では?
……って、のんきにそんなこと考えてる場合じゃない。
は~。
入学して翌日から補習なんて最悪のスタートだ。
夜琉くんとこれから一緒に帰れる~って楽しみにしてたのに。
そんなこんなで落ち込んでいた私だったが、その後の授業でそれどころではなくなることになるとは、この時の私は知らなかった。
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「夜琉くん……私、高校卒業できないかも」
「……はい?」
お昼休み、夜琉くんと一緒に中庭でご飯を食べていたとき、
私がそうが零した言葉に、夜琉くんは笑顔のまま首を軽くかしげた。
「なにかあったんですか?」
「うん。今日さ、午前中に4科目授業を受けたんだけどね、全部意味が分からないの!!」
「……はい?」
「もうね、先生が何言っているのかわからないし、教科書見ても知らない単語ばっかりで、わけがわからなくて!」
「……」
「特に物理!なにあれ!?数学?英語?なんか色んなもの混ぜすぎじゃない!?」
「……」
「しかもみんな先生に当てられたらちゃんと答えられてるの!怖い、こわいよ夜琉くん……私このままだと絶対留年する……いや下手したら頭悪すぎて退学になるかも……」
もしそんなことになったら夜琉くんとの楽しい高校生活を送るどころか、私の今までの苦労が無駄になってしまう……。
「あさひ、一旦落ち着いてください。まだ高校生活1日目ですよ。たしかにこの学校の授業レベルは高いですが、あさひならきっと大丈夫です」
「でも私、ほんとに全然分からなかったの……それに昨日のテストも62点で補習になっちゃったし」
「みんなは学校が始まる前に、少し予習をしていただけだと思いますよ。それにテストの結果だって決して悪いわけじゃありません。大方、あさひはテストがあることを知らずに、復習してこなかったのでしょう?」
「うん……」
「復習しないでその点数は凄いと思いますよ。あのテスト、入試のテストよりもレベルが高い問題が多かったんです。みんな必死に復習と予習をしてギリギリ70点台って人が大半ですから」
「え、そうなの?」
てっきりみんな、80~90点なんだろうって思ってた。
「だから、あさひがちゃんと勉強すれば、留年なんてことはありえません。あさひなら絶対に大丈夫です」
「夜琉くん……うん!そうだよね!まだ高校生活始まったばっかりだし、ここから巻き返していけばいいんだもんね!」
彼の「大丈夫」の一言で、私のやる気は完全復活!
そうよ、夜琉くんにふさわしい彼女になるためにも、これから勉強を頑張らないと!!
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