高校1年生④
「よーるくん!一緒に帰ろ!」
HRも終わり、D組の教室にいる夜琉くんの元へ向かう私。
他の人の視線が私達に注がれている気がするが、そんなものはどうでもいい。
「はい。帰りましょうか」
はぁぁ〜。夜琉くんの天使のスマイル・・・。
ほんとに癒される。
「そういえば、母が入学のお祝い準備のため先に帰ったのですが、良ければあさひもうちに来ませんか?」
「え、それって私もお邪魔しちゃっていいの・・・?」
「はい。母はあさひのことを気に入ってますから、むしろ来ていただけると喜ぶと思います」
「そ、そう?じゃあお言葉に甘えてお邪魔します!」
「はい。それじゃあ行きましょうか」
「うん!」
学校を出て、夜琉くんのうちに向かいながら今日の出来事やクラスはどうだったなど、他愛もない会話をしながら歩いていると、あっという間に夜琉くん家のでっかい門の前に到着。
何度か来てはいるけど、この大きな門と屋敷を見ると、あらためて夜琉くんとの立場の差を思い知らされる。
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「あら、あさひちゃん!久しぶりい~!!また可愛くなっちゃって!!」
リビングに入ると、夜琉くんのお母さんにギューッと抱きしめられる。
「お、お久しぶりです」
「あさひちゃんも来てくれるなんて嬉しいわぁ!最近全然来てくれないから寂しかったのよ」
抱きしめていた体を離し、ショボンとそう言うお母さまは、とても一人息子がいるとは思えないくらいの童顔で、そこらへんの大学生とかより可愛い。
夜琉くんのお父さんはモデルや俳優になれるじゃんってくらいイケメンだし、この二人の最強遺伝子を継いだ夜琉くんってやっぱり神か天使よね。
「来たい気持ちはあったんですけど、夜琉くんと同じ学校に行くために勉強に集中しなくちゃいけなかったので……」
「あさひちゃんは本当に一途でいい子ね……もう早くお嫁に来ればいいのに!」
「あははは……」
できることなら私もそうしたいんですけどね……。
「母さん、話はそこまでにして早くお祝いを始めましょう」
こういう話になると、いつも夜琉くんはその話題を避けるような態度をする。
「あ、そうね!さ、あさひちゃんも座って座って!」
促されて夜琉くんの隣に座った私の目の前には、ケーキやチキンの丸焼きにお寿司、海老、色んな種類の御馳走が並べられている。
お、美味しそう……。
「あさひ、飲み物は何が良いですか?」
「ええっとじゃあ夜琉くんと同じので……」
そう言うと、使用人の人が私のグラスに夜琉くんと同じものを注いだ。
これが何の飲み物かはわからないが、「ありがとうございます」とお礼を言って、グラスを片手に持つ。
「それじゃあ改めまして、二人とも入学おめでとう!あさひちゃん、今日は遠慮しないで好きなだけ食べてね!」
「はい!」
「それじゃあ乾杯!」
「「乾杯」」
普段は絶対に食べることができない豪華な料理はすごく美味しくて。
途中からは夜琉くんのお父さんも参加してみんなでいっぱいお話して、すごく幸せな時間だった。
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