高校1年生①
通学路にも桜が咲き、風が吹くと花弁がふわりと舞い始めた4月。
「ん~!いい天気!」
春の暖かい日差しに、気持ちいい風。
入学式にもってこいの天気日和だ。
私が今日から通うのは、日本でも有名な進学校で私立仙北学園。
大学付属の高等学園で、卒業生のなかには弁護士や政治家、医者などを多く輩出している。
その功績と教師の質が良いため、財閥の御曹司や政治家の子供なども多く、学校側の警備もすごくしっかりしていて、門の前にも警察官や黒いスーツを着た人が何人もいる。
「さてと、とりあえずクラス表は……」
「あさひ、おはようございます」
キョロキョロと辺りを見回していると後ろから聞こえた声。
「あ、夜琉くん!おはよう!」
振り向くと、高校生になっても健在な天使のスマイルを浮かべている夜琉くんが立っていた。
「はあ~。今日もかっこいいね夜琉くん。美しすぎて朝から昇天しそうだよ」
「そうですか」
かれこれ6年ほどの付き合いだが、いまだに夜琉くんを見るたびに綺麗だなぁと思う。
しかし、しょっちゅう私が夜琉くんを褒めているせいか、最近は私の誉め言葉に対して夜琉くんの返答が雑になっている気がする……。
「それより、今日から同じ学校に通うことになりますね。あらためて、よろしくお願いします。」
「うん!こっちこそよろしくね!同じクラスだといいな~」
「そうですね。あさひと同じクラスだったら楽しくなりそうです」
ドキッ。
「よよよ夜琉くん!」
「はい、なんですか?」
「そーいうことは、あまり他の人には言っちゃだめだよ!?」
「え…?もちろん、あさひだから言った言葉で、他の人には言いませんよ?」
キョトンして私は言った意味を理解してなさそうな夜琉くんに、だからそういうとこだよ!と叫びたい気持ちをぐっと抑える。
夜琉くんは人を褒めるのがとても上手い。ただ相手の容姿とか性格を褒めるとかそういう事じゃなく、会話の中で自然とさりげなく誉めるのだ。
しかも夜琉くんの場合、お世辞とかじゃなく本当に心から思っているのが伝わってくるため、夜琉くんの一言で恋に堕ちてしまう人を何人も見てきた。
時には男の人まで・・・。
夜琉くんはただでさえモテるのに、高校でもそんな感じでいられたらライバルが増えて非常に困る!
高校生活ではなるべく一緒に過ごして周りに牽制しておかないと!
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