意味とおそろい
2日目になり、京都での班行動が始まった。
金閣寺・清水寺・嵐山の順に行くことになっており、合間に昼食を取ったり、お土産を買ったりする予定だ。
「これが、金閣寺……!」
「すごい、本当に金色なんだ。」
「ね!それに、水面に反射してるのも綺麗……!
「ええ、昔にね。」
「前と比べると、何か変わってるとことかあったりする?」
「……建物自体に変わっているところはないけれど、私自身が成長したことで、見た時の感じ方が違うような気がするわね。」
「へぇ、どんな風に?」
「そうね……前に来た時は、初めて見た金閣寺の魅力に圧倒されて、純粋に綺麗だと思うばかりだったわ。けれど、今はその金閣寺がとても輝いていて……。」
……私には眩しすぎるように感じる、とは、2人には言いたくないと思ってしまった。
――――――――――――――――
「これがあの噂の、清水の舞台……!」
「ああ……ここから飛び降りるとか、いくらなんでも無理だろ。」
「だな。もうあのことわざ、簡単には使えなくなったな。ま、今までも使ったことはないけど。」
「あはは、そうだね。……でも、あのことわざがあるってことは、人生でここから飛び降りるくらいの気持ちを持たないといけない時がくるかもしれないってことだよね。それってどんな時なんだろう……。」
「……。」
俺にそんな時が来るとしたら……。
それは多分、
―――――――――――――――
金閣寺、清水寺と周り、今度は清水寺付近のお土産屋さんが集まる通りに移動し、各自お土産を選ぶことにした。
「わぁ、かわいいハンカチ……!」
「ほんとだ。柄も和風って感じで京都っぽいね。」
「ええ、とっても素敵ね。」
「もし良かったら、三人でおそろいにしない?」
「うん、いいよ。」
「やった!京子はどう?」
「えっと……その、私、友達とおそろいとか、そういうのしたことがなくて……。どうしたらいいのかしら……。」
「あれ、私たちって、今までおそろいのもの、持ってなかったっけ!?」
「言われてみれば確かに、したことないね。」
「えー!もうてっきり何か持ってるかと思ってた……。じゃあ、これが初めてのおそろいになるってことだね!」
「そうだね。」
「えっと……。」
「そんなに難しく考えなくても大丈夫だよ。言ってしまえば、ただ同じものを買うだけだし。もちろん、嫌だったら無理にとは言わないけどね。」
「いえ、嫌なわけではないの。ただ、少し、緊張してしまっているだけで……。もし二人がいいのなら、私もしてみたいと思ってるわ。」
「ほんと?やった~!」
「じゃあ色選ぼっか。」
「!、そ、そうしましょう……!」
こうして、私たち三人は、初めてのおそろいを手に入れたのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます