2. 映画ともう一度
映画ともう一度
「なあ
帰りのホームルームが終わり帰宅しようとしていた俺に、友達の
「チケット?」
「ああ。父さんに2枚もらったんだけど、期限が明日までなんだ。でも、俺は明日予定があってさ。もし晴人の予定が合うんだったら、もらってくれないかなって。」
明日の予定を思い出してみたが、幸いにも何の予定もなかった。
「ならもらってもいいか?」
「もちろん。おかげで無駄にせずにすんだよ。」
「そうか、ありがとな。楓が明日暇だったら、楓と行ってくるわ。」
「ああ、楓にもさっき声をかけてみたんだけど、明日は予定があるってさ。」
「マジか、誰誘うかな……。」
「……誰もいないなら、
「
「ああ。この映画はこの前見たらしいんだけど、もう一回見たいってこの前言ってたからさ。」
「へぇ。」
「ほら、昔はよく水季ちゃんと話してたけど、最近は全然なんだろ?
この機会にまた話してみてもいいんじゃないか?」
確かに小学生以来、どうにも恥ずかしさがあり、凍ノ瀬とはあまり話してこなかった。蒼の言う通り、この機会にまた凍ノ瀬と昔のように話せたらいいよなとは思う。
だが、凍ノ瀬を誘って映画に行くということは、それはつまり……。
「晴人が言いにくかったら、俺から誘ってみようか?」
「……いや、俺が言うよ。ありがとな。」
(誘うっつっても、もう凍ノ瀬帰ったよな……。あとで電話してみるか。)
蒼に別れを告げ、ひとまず家に帰ることにした。
その夜、予定通り凍ノ瀬に電話をかけようと挑んだ。だが、やはり自分から女子を誘うと思うと、緊張して仕方がない。
(……もう、なるようにしかならねぇよな。)
電話を手に取り、凍ノ瀬へと電話をかけた。
『
「夜に悪ぃ。明日のことで話がしたくてさ。」
『明日?』
「ああ。蒼に映画のチケットもらったんだけど、期限が明日まででさ。楓も行けねぇから、凍ノ瀬が良ければ一緒に行かねぇかなと思って。」
『へぇ、なんて映画?』
「『空模様は今日も。』っていうやつ。」
『それ、私がもう一回見たかった映画……‼』
「ああ、蒼にそう聞いたから、どうかなって。」
『行く、行きたい!』
「!ほんとか、じゃあ、明日の10時に駅前に集合な。」
『うん、誘ってくれてありがとう、灯野。』
「おう。」
話しているうちに、緊張はどこかへ消えていた。凍ノ瀬は俺と映画に行くことに、何のためらいもない様子だった。
……俺の気にし過ぎだったみたいだな。
明日はどんな一日になるのか、期待で胸が膨らんだ。
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