60話

第60話

午後になった。校門で待つ楓。


「遅くなってごめん。楓」


 宏雪は、走ってくる。


「良いよ。じゃあ、ショッピングに、付き合って」


 楓は、宏雪の手を引っ張っていく。


「ああ」


 宏雪は、楓につられるように歩いている。


 しばらく歩いていく小さな雑貨屋が見えた。


 楓達は、小さな雑貨屋に入った。


 楓は、店内に見回っている目に入ったシルバーの鎖が

 ついた月と星のペアのストラップを手に取った。


 そのストラップは、月と星に分かれて、二つで一つになって

 いる。楓は、宏雪が店内を見回っている隙に、こっそりと買った。


「何を買った? 楓」


 宏雪は、問いかけた。楓は、思わず、それを隠した。


「秘密!」


 小さな雑貨屋に出た。しばらく歩いていた。


 楓が突然、歩くのを止まった。


「これ、受け取ってくれる?」


 宏雪にさっき、買ったシルバーの鎖がついた

 月のストラップを渡す楓。


「良いのか?」


「うん、良いよ。宏雪の為に買った。ペアなんだよ。

 私は、星になっているよ」


「ありがとう。大切にするよ」


 思わず、楓に抱き寄せる宏雪。楓は、照れくさそうにした。

 宏雪は、パッと離した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る