第十一章 楓の告白

59話

第59話

約束の土曜日、何だか、宏雪は落ち着かない様子。


「どうしたの? 宏雪。いつもの宏雪とは違うから。

 何だか、落ち着かない様子ね!」


 玲子が、教室へと入って来た。


「昼から、楓と遊びに行くんだ」


「へぇ~、そう。私も、聞いていたの。楓から……」


 玲子は、笑いながら、前髪を右手でかきあげた。


「なんだ! 知っていたんだ。どうしょう? 何か、

 教えてくれ」


 宏雪は、オドオドとしている。


「そうね。映画を観て、それから、遊園地もどう?」


 玲子は、考えるのが楽しそうにする。


「助かった。ありがとう。そうするよ」


 宏雪は、ホッと安心した顔をする。チャイムが鳴った。


 もう一方の玲子は、何だか、胸が苦しくなったような

 気がした。


(……楓が、告白をするのね)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る