58話

第58話

「ハーハァ、あのう、宏雪、話があるの?」


「えっ、僕に」


 宏雪は、驚いた。楓は、しゃがみ込んだ。


「そうだよ。宏雪に」


「大丈夫か? 楓」


「うん! 大丈夫だよ」


「話って何だ?」


 宏雪は、楓がいる方向に近付いて来る。


「この間は、ごめんなさい。先生達に怒られて」


 楓は、申し訳なさそうな顔をする。


「良いんだよ。僕が、楓の側にいたかったんだ」


 宏雪は、楓の頭をポンポンと軽く叩いた。


「あのね、土曜日の昼から、一緒に遊びに行かない?」


 楓は、照れくさそうにする。宏雪は、思わず、嬉しそうにしながら。


「楓と?! もちろん、行くよ!」


「……別に、深い意味はないの。いつも、迷惑ばかりを掛けているから」


 楓は、慌てている様子。宏雪は、笑った。

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