第九章 玲子の本音

53話

第53話

それから、数日後の放課後。玲子は、宏雪に声を掛けた。


「ねぇ、宏雪。話があるから、体育館の裏に来てくれる?」


「うん、分かった。何か用事か? 玲子」

 

 宏雪は、鞄を持ちながら、玲子に問いかけた。


 玲子は、鞄を持って、にっこりとした。


「あ・と・で。じゃあ、待っているわよ。宏雪」


「うん」


 宏雪は考え込む。玲子は、教室から去って行く。


 しばらくして、宏雪も玲子の後を追うように、教室に出て行った。


 もう一方の玲子は、宏雪にどんなふうに言おうか考えながら、


 ブラブラと体育館の裏を歩いている。そこに、宏雪がやって来た。


「玲子、話って何?」


「あのね、私は……」


 玲子は、下を向いた。


「私は……。それから、何? 玲子」


 宏雪は、玲子の顔を覗き込む。

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