52話
第52話
「ええ、聞いたわよ。楓ちゃんの気持ちも知りたかったから。ごめんね。
楓ちゃん」
「いいえ、でも、私、今はまだ、駿の事が忘れられないの。ごめんなさい。
本当は、どうしたら一番、良いのか分からないし。楽になれたら、いいなと
思ってしまう。人間関係って難しいね」
楓は、悲しげな顔をした。そんな楓を見た玲子。
「そうだわね。簡単に、人の心は動かないもの。でも、宏雪の事を考えてあげて。
宏雪は楓ちゃんの事を本当に好きだから」
「はい、分かりました。玲子先輩、でも、もしかしたら、宏雪の事が好きなんですか?
だったら、告白した方がいいですよ」
「違うわよ! 楓ちゃん、宏雪なんか! もう、寝るね」
玲子は慌てて、ベッドの中へ潜った。
(……ごめんね。楓ちゃん。楓ちゃんの言うとおりだわ。)
「おやすみなさい」
楓も布団の中へ入り、寝た。
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