50話

第50話

しばらくして、玲子の喫茶店が見えて来た。


 楓が、玲子の喫茶店に入ろうとしたら、宏雪が止めた。


「違うよ。そっちじゃないだ。楓」


「えっ、ここでしょう。宏雪」


 楓は驚いて聞いた。宏雪は、楓の手を引っ張って連れていく。


「こっちだよ。ほら、ここが、玲子の家の玄関だよ。

 だって、僕の家は隣りだから」


「え、そうなんですか?」


「玲子、いる? 楓、連れて来たよ」


 宏雪は玄関のドアを開けた。


「宏雪」


 家の奥から出て来る玲子。宏雪は、笑っている。


 玲子は、何だか、嬉しそうにしている。


「宏雪、ありがとう。楓ちゃん、さぁ、上がって。汚い所だけど」


「はい、おじゃまします。玲子先輩」


 楓は、家の中へと上がった。宏雪は玲子に聞いた。


「僕は?」


「駄目よ! 女同士の秘密よね。ねぇ、楓ちゃん」


 玲子は、ウフフと笑う。楓は、宏雪の方へ見ながら、玲子に背中を

 押されている。


「まぁ、いいか。じゃあ、僕、帰るわ」


 宏雪は叫んだ。玲子も、大声で叫んだ。


「じゃあ、またね。宏雪」


 楓は、さっさと、急ぎ足で玄関に行き、会釈をした。


「宏雪。ありがとうございました」


「良いよ。楓ちゃん」


 宏雪は玄関から出て行った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る