47話

第47話

「宏雪、殴る価値もないよ。一番、私が殴りたかったから。空しいだけし、

 手を汚す事もないよ。駿は、その程度の心しか持ち合わせないという事よ。

 でも、本当の気持ちを言ってほしかった。嘘をつかれるし、

 『隠す』って、嫌だった。もっと、苦しまずに、楽に別れるのに。

 でも、心の整理が出来たから、別れてあげるね。だから、もう二度私に

 近づかないで。愛美ちゃんと仲良くね。じゃね、さようなら」


 楓は優しく笑って、振り返り、手を振りながら去って行く。


 宏雪は、楓の後を追いかけて行く。楓は、泣いている。


(もう、これで良い。これで)


 宏雪は黙ったまま、楓と一緒に歩いている。


 もう一方の駿は、一人で、たたずんでいる。

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