46話

第46話

もう一方の楓は、席に着いて空を見上げていた。


 クラスの女の子は、教室に戻って来た。


「ハーハー、楓! 駿と三年の柊先輩が、体育館の裏で喧嘩している!」


「えっ、嘘。喧嘩! 体育館の裏だね。ありがとうね」


 楓はものすごい勢いで、走って行った


 楓が、体育館の裏に行くと、二人は喧嘩をしている。楓は叫んで。


「二人供、やめて!」


 楓は、駿のシャツの背襟ぐりを、グイッと引っ張って、駿を退けた。


 そして、楓は宏雪を庇った。


「どうしてなんだ? 楓。そんな奴を庇うんだよ」


 駿は地面を蹴り飛ばした。


(駿、自分が一番、そんな事を分かっているくせに、何を言っている? )


 楓はムスッとした顔で、駿を睨んだ。


「言ってあげる。駿、私に嘘をついた。愛美ちゃんの事も隠した。私の前で

 堂々付き合っているでしょう。私がどんな気持ちで見ていたのか知っている?」


「楓、それは……」


 駿は黙って、下を向いた。


「駿君、何か言えよ」


 宏雪は駿の胸倉を掴んで、殴ろうとした。楓は宏雪の手を、掴んで止めた。

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