第六章 宏雪の想い

39話

第39話

そんなある日の放課後。玲子は、息を切らして、

 教室に入って来た。


「どうかした? 玲子」


 宏雪は、不思議そうな顔をした。


「ねぇ、宏雪。楓ちゃん、知らない?」


 玲子は、何だか心配そうに聞いた。


「楓に、何かあったか?」


 宏雪は、玲子に問いかける。玲子は、前髪を掻きあげた。


「お昼休みから、居なくなったらしいの。友達が探して

 いるみたい」


「なんだって?!」


 宏雪は、立ち上がった。


「私も、楓ちゃんを探してみるから。宏雪も探してみて」


「分かった。探してみるよ」


 宏雪は、サッと教室から出た。


(……楓ちゃんの事になる早いんだから)


 玲子は、笑いながら教室が出た。玲子も、楓を探し始めた。


 廊下を走っている宏雪は、屋上へ向かった。


 その頃、楓は一人きりで屋上の隅で座り、ぼっとしている。

 夕日が落ちていく。


 そこに、楓を探していた宏雪が、やって来た。

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