38話

第38話

「告白をすればいいじゃないの。あのね、何故、

 私に聞くの?」


 玲子は、宏雪に気が付かれないように、震える手で

 コーヒーカップを持った。コーヒーを一口、飲んだ。


「そうだね。そうするよ。ありがとう。じゃあ、

 帰るよ。玲子」


「……うん、じゃあね。宏雪」


 玲子は、下を向いた。そして、宏雪は椅子から

 立ち上がった。


「じゃあ、おじゃましました」


「は~い、また、来てね。宏雪君」


 玲子のお母さんが笑った。宏雪は、喫茶店のドアを

 開けて、去って行った。


 玲子は下を向いたままだった。


(……宏雪の奴。人の気持ちを知らないで、嫌な奴だわ……。

 ずっと子供の頃から好きなのにね。)

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