第五章 すれ違い

36話

第36話

もう一方の宏雪は、楓の家から出て、玲子のお母さんの

 喫茶店にやって来た。


「伯母さん、玲子の奴、いるんですか?」

 

 宏雪は喫茶店の中へと入って来た。


 玲子のお母さんが違うお客さんのコーヒーをコーヒーカップに

 入れながら、叫んだ。


「玲子! 宏雪君が呼んでいるわよ」


「はい」


 喫茶店の奥から出てくる玲子。


「よっ、玲子」


 手を挙げる宏雪。玲子は、宏雪の方へ近づいて来る。


 宏雪は、椅子に座った。玲子は、宏雪に、聞く。


「コーヒーでも入れるわね。いつものでも、いいでしょ」


「ああ、ちょっと、玲子に話しがあって」


 宏雪は玲子の方へ見た。


「分かったわ。ちょっと、待って、コーヒーを入れて

 くるから。宏雪」


 玲子はカウンターの中へと向かった。宏雪は、じっと

 待っている。


 しばらくして、玲子はコーヒーを入れたコーヒーカップを

 二つ、お盆にのせ、運んでくる。


 宏雪は、コーヒーカップを一つ、取った。玲子は、

 残ったコーヒーカップをテーブルに置き、椅子に座った。

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