31話

第31話

そういう状態で、昼休みになった。


 楓は、お弁当を持ち黙って、教室を出た。


 駿も、楓の後をこっそりと、追いかけた。


 楓は体育館の裏に来た。駿は、物陰に隠れた。


 楓が、『誰かを待っている』と思いながら

 駿はパンを食べ始めた。


 そこに愛美が来た。二人は、座った。


 楓は、お弁当を開けながら。


「話って、何? 手短めに、用件を。

 ストレートに言ってくれる。愛美ちゃん」


「いいですか? 楓先輩」


 愛美はお弁当を開けて、食べ始めた。


「良いよ」


「あのですね。言いぬくいですが、私、三ケ月前に、

 駿先輩に告白しました。駿先輩も、私の気持ちを、

 受け入れてくれました。駿先輩と付き合っています。

 楓先輩に、『嘘つくのは、良くない』と思いました。

 だから、楓先輩、駿先輩と別れて下さい」


「愛美、やめろ! よせ!」


 それを物陰から聞いた駿が、走って来た。


「駿は、黙って! どうせ、駿は、隠そうしたのよ!」


 楓は腹が立ってきた。愛美は、駿を庇いながらも

 強い口調で言った。


「楓先輩の事を思ったんです。だから、隠そうと

 したんです」


「もう、良いよ! 愛美ちゃん、一つだけ言わせて。

 貴方は、無神経な人だわ」


 楓はお弁当箱をサッと取って、走って去った。

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