第四章 告白

30話

第30話

その次の日、楓が、学校に登校してくると校門の前に、

 愛美がもたれて、立っていた。


 愛美は楓と目線が合った。楓は、愛美を避けて行こうと

 するが、愛美は、楓の方に歩いて来た。


「楓先輩、今日の昼休みの時に、時間をもらえますか?」


「愛美ちゃん、ええ、良いよ」


 楓は、愛美に作り笑いをした。愛美も緊張しながら

 言った。


「体育館の裏に来て下さい。お弁当も持って来て

 いいですから」


「分かった。必ず、行く。愛美ちゃん」


 楓は教室へと歩いて行った。そして、愛美も教室へと

 走って行く。楓は、廊下を歩きながら。


(……ん、なんだか、嫌な予感がする。本当は、聞きたくない。

 嵐のようなこの胸騒ぎが、当たってほしくない)


「よっ、楓、おはよう。今日は、いつもより早いじゃん。

 俺、迎えに行ったんだぞ」


 駿は肩をポンと叩いて、楓に声をかけた。驚いて、

 フッと振り向いた楓は。


「えっ、おはようございます。駿、良いんじゃんか。私が早く

 来ようが、もう、駿には、関係ないよ」


 楓は教室に入った。駿は、教室に入りながら。


「待てよ。楓!」


 楓は、席に着いた。駿の事を、無視した。


(駿の嘘つき! 本当の事を言ってよ)

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