25話

第25話

一方の楓は、走っている途中で、ふっとお弁当箱を

 落とした事に気が付いた。腕時計を見ながら。


「どうしよう。今更、戻るなんて嫌だし。

 もう、チャイムが鳴るし。まぁ、いいか」


 楓は混乱しながらも、教室に走って行った。


 楓は教室に入り、席に着いた。ボッーとしている楓。

 

 駿が教室に戻って来た。楓にお弁当箱を渡した。


「ふん、ほら、楓」


「ありがとう。駿、あのね、もう、家まで送迎

 しなくていいよ。一人で大丈夫」


 楓は、駿に笑って、お弁当箱をカバンの中に入れた。


(本当の気持ちが知りたい。でも、駿は、嘘をつく

 だろう。でも、嘘をつかないで)


「楓……」


「ほら、良いから。駿、席に着いて。チャイムが鳴るよ」


 楓が言っているとチャイムが鳴った。駿は黙って、

 席に着いた。

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