24話

第24話

「あのう、駿は、知りませんか?」


 もう一方の楓は、駿を探して人込みの中を避けて、

 ぶつかりながらも、校内中を走り回っている。


 楓は、体育館の裏に来た。そこには、駿がいた。


 楓が、声をかけようとしたら、愛美が来た。


 楓は、あわてて、パッと隠れた。そっと覗いた。


 駿と愛美は、恋人同士みたいに仲良くしていた。


 それを見た楓は、心の中で、『ショック』と

 『何で? 』という疑問に沸いてきて、何だか、分からなくなった。

 思わず、楓は、カチャンお弁当箱を落としたのを気が付かずに、

 ただ、走って逃げた。


 それを気が付いた駿は、音が聞こえた方におそるおそる歩いて行く。


「愛美ちゃん、ちょっと、待て」


「うん」


「これ、楓のお弁当箱だ。楓の奴、ここにいたかも。俺達の事を見て

 いたんだ」


 駿は、楓が落としたお弁当箱を拾いながら愛美の方を見た。


 愛美は駿の方に歩いて来た。


「もしかしたら、私達の事を知ってしまったんですね。本当の事を

 言いましょう。ねぇ、駿先輩、隠すのは、もうやめましょう」


「愛美ちゃん、嘘をつくのは良くない。でも楓を傷つけてしまう。

 もう少し、このままにしよう」


「うん、分かりました。駿先輩」

 

 にこりと笑う愛美。そして、駿と愛美は手を繋いだ。


 二人は、それぞれの教室へと戻った。

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