23話

第23話

「宏雪、楓ちゃんの事を、気になるんでしょう。隠しても無駄よ。

 私には分かるのよ。だって、自分から、初めて興味を示したもの。

 何となく、楓ちゃんに惹かれていく事も分かるわ。楓ちゃんって、

 不思議な子だから」


 玲子は前髪を手で掻き上げた。


「そうなんだよな、玲子。知らず知らずに、いつ間にか、楓ちゃんの

 事を、気になっている。この僕が。ほっとく何か危なかっしくて、

 ほっとけないんだ。なんだろう。不思議な子だな」


 考える宏雪。玲子は、寂しく感じる。


「もしかしたら……。ううん、多分、宏雪は楓ちゃんが好きなのよ。

 ずっと前からね。知っているのよ。楓ちゃんを見かけたら、目線

 で追いかけていたじゃない」


「違うよ。楓ちゃんは、彼氏がいるじゃないか」


 宏雪は、思わず怒った。


「図星だわ。彼氏がいてもいいじゃないの。恋は奪うものよ」


 玲子は、微笑みながら歩いて行く。宏雪は、後を追うように

 歩き始めた。


「待てよ!」


 二人は、屋上から、教室へと歩いて行った。

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