22話
第22話
「あっ、そうだね。玲子とは初めてだね。僕の幼
なじみの……」
「初めまして、花草玲子です」
玲子は会釈をする。楓も、同じように会釈を返した。
「初めまして、塚野楓です。二年生です。玲子先輩と呼
んでもいいですか?」
「良いわよ。私も楓ちゃんって、呼んでもいい?」
玲子は笑った。楓も、一緒になって笑いながら。
「はい。お願いします。でも、勘違いしないで下さ
いね。宏雪さんとは、何でもないですから。遅いな、
駿の奴」
「はっきりと言うなよ。楓ちゃん」
宏雪は、冷静を装っている。
(楓ちゃん、ちょっと、ためらってほしい。
何で、僕が、そういう事を思っているんだろう)
「じゃあ、そろそろ、行きますね。駿を探して行きます」
楓はお弁当箱を持って歩き始めた。
「じゃあね。楓ちゃん」
玲子は手を振った。宏雪は、優しく微笑んだ。
「ごめんな。駿の事をあまり気にするな」
「うん、分かった。宏雪さん、玲子先輩」
楓は、お弁当箱を振りながら歩いて行った。
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