19話

第19話

「どうした? 駿の奴って。最近、喧嘩でもしたのか?」


 宏雪は不思議そうな顔で聞いた。楓は悲しそうな顔をした。


「宏雪さん、別に、喧嘩をしたとかではないけどね。駿ね、

 最近、何か様子がおかしいんだよね。分からないけど。

 雰囲気的に違うんだよね」


 楓は食べ終わった後のお弁当箱を片付けている。宏雪は、

 楓を見つめた。


「楓ちゃんてさ、本当に駿の事が好きだね。だから、不安に

 なるんだね。一見、強そうに見えて、もろかったりする

 だろう。駿君は、そういうところを気づいてないと思うよ」


 楓は赤面しながら笑った。


「ワッハッハ。宏雪さん、私って、そんなに内面的にデリケ

 ートに見える?」


「楓ちゃん、一見、強がっていて、守らなくても大丈夫だろ

 うと思ってしまう。でも、僕は、ほっとけないんだ」


 宏雪は真剣な顔になった。


「宏雪さん、ありがとうございます。嬉しいよ。そんなに

 言ってくれるのは、宏雪さんだけです」


 楓は嬉しそうな顔をして笑った。そして、膝を曲げて

 手を組んだ。なにげなしに寂しい表情をした。楓の

 そんな顔をする見た宏雪。

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