18話

第18話

「ああ、そうするよ」


 宏雪は楓の横に座り、紙袋を横に置いた。紙袋の中から、

 サンドウィッチを取り出した。楓は、それを見て聞いた。


「宏雪さんって、いつも、買うんですか? 誰か、お弁当を

 作ってくれる人って、いないんですか?」


「いないんだ。お母さんは、弟の世話で忙しいし」


「宏雪さん、彼女がいるではないですか?」


 楓は玉子焼きをほおばりながら、聞いた。


「彼女なんて、いないよ。それより、楓ちゃんのお弁当を、

 お母さんに作るのか?」


 宏雪はサンドウィッチのビニール包装紙を開けた。


「ううん。自分で作る。玉子焼き等の簡単なものは作るけど、

 後は、冷凍ものだよ。おにぎりと玉子焼きをあげるよ」


 楓はお弁当箱のフタにおにぎり二つと玉子焼き三切れをのせ、

 そして、宏雪に渡した。


「はい、どうぞ」


「ありがとう。楓ちゃん。一個、サンドウィッチをあげるよ」


「ありがとうございます。宏雪さん、おいしいですか?」


「ああ、おいしいよ。楓ちゃん、料理が旨いだね」


 宏雪は優しく微笑んだ。そして、おにぎりを頬張った。


「宏雪さん、おいし~い。良かった。いつも暇があれば、手を込

 んだ料理も作るんだけどね」


 楓もおにぎりを頬張った。


「じゃあ、駿君にも作るんだね」


「う~ん。駿にも作るよ。最近、作らなくていいって、言うんだ

 よ。駿の奴は……」


 楓は悲しそうな顔をした。

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