6話

第6話

「えっ、あっ、分かった。『上月 愛美』って言っていたっけ。あんなふうな子

 も、かわいいなと思ってさ。それより、楓の方こそ、あの『紳士野郎がいい』

 と思ったんだろう? なんて言っていたっけ。あっ、『柊 宏雪』って言う

 奴だった。学校に遅れるぞ」


「違う。でも、『良い人かなぁ~』って思ったよ。それ以外はない。早く~! 

 学校へ行こう。先輩が遅れたら、格好が悪いよ」


 楓は、ゆらゆらゆらりと駿の自転車に乗って、眩しい太陽を見ている。


 一方の駿は、はーはーと言いながら、必死に自転車のベダルを漕いでいる。


 しばらくすると、学校が見えた。


「もう、ちょっとだよ。駿、頑張れ」


「やっぱ、きつい。でも、毎日の運動になるんだけどさ。もう一息だ。レッツゴ

 ―」


 生徒達で、ざわめく学校の門の中に入る駿達。自転車を駐車場に置きに行こうと

 している駿達。


 ざわめいている中で、一人の生徒が声をかけた。

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