第13話 ロリとお風呂1
マルゲリータを美味しく食べ終わえた俺たちは、お風呂に入ることになった。
そして、どっちが先に入るか話し合っていたはずなのだが·····。
「私が結城さんのお背中を流してあげます!」
木乃花ちゃんが全く引きそうにもない状態になってしまった。
高校生にもなって誰かと一緒にお風呂に入るなど、ましてや異性とだなんて、異常事態としか言いようがない。
「じ、自分で洗えるから大丈夫だよ·····!」
正直に言うと、俺は一緒に入ってもいいのではないかと悪魔から一方的に囁かれている状態なのだが、理性がそれを許さない。何かあってからでは遅いのだ。
「何が嫌なんです·····? もしかして私なんかじゃ、結城さんのお相手になれないと?」
含みのある言い方をするなー!
そもそも、木乃花ちゃんは小学六年生だし、一緒にお風呂に入ることへの恥じらいくらいはあってもいいんじゃないのか?
「ダメったらダメ! 俺と木乃花ちゃんは性別が違うの! 一緒にお風呂に入ったらいけないんだから!」
「性別が違かったら何がダメなんですか·····?」
どうやら木乃花ちゃんは純粋無垢すぎたらしい。そして、俺にダメな理由を説明するほどの勇気はなかった。
一緒に入りたくない理由を明確にしないまま、木乃花ちゃんを突き放すわけにもいかず、俺はとある提案をする。
「お互いに水着を着るってんならいいけど·····」
「水着ですか? 分かりました! すぐに持ってきますね!」
何の疑問も持たず、素直に従ってくれる木乃花ちゃんは、ロリとしては最高の逸材であった。
ロリのいい所と言ったら、素直で純粋無垢で、何事に対してもキラキラとした目で挑戦的に取り組むことではないだろうか。そして可愛いこと。
「これでどうですか?」
水着に着替え終わって戻ってきた木乃花ちゃんの方を見ると、そこにはスク水を身にまとった少女がいた。
分かってはいたけど·····! 確かに、小学生が持っている水着なんてスク水くらいだろうけど·····!
「い、いいと、思う·····」
スク水が木乃花ちゃんの身体にくっついて、その輪郭を際立たせている。ここに水をかけたらさらに、酷いことになるだろう·····。
というか、小学校でそういう事態が起こっているということになる。木乃花ちゃんと同じ学年の男子が羨ましいったらありゃしない。
「そうですか? 少し古いやつなので小さいかなって思ってたんですが·····」
違かったー!
別に、男子がこの光景を目にしているわけではなかったらしい。俺しかこのスク水を見ていないということになる。
安心、安心。
·····何が安心だ?
俺は、これからこのスク水を着た木乃花ちゃんと一緒にお風呂に入るんだぞ? 大丈夫なのか?
「あ、新しい水着はないの?」
「見当たらなくって·····」
なら仕方ないか! うんうん。
「そっか。·····というか、俺も水着を着た方がいいんだろうけど、あいにく持ってきてないんだよな」
まだ夏にもなっていないのに、水着を持って来ている方がおかしいというものだ。
「そんなこともあろうかと、取り寄せて起きました!」
スク水の木乃花ちゃんは、男用の水着をどこからか取り出す。
いやいや、そんなに準備いいことがあるか!
「あ、ありがとう·····?」
何に感謝をしているのか、そろそろ分からなくなってきたが、考えないようにする。これ以上は頭が追い付いてこない。
結局、俺たちは水着を着たまま、とんでもなく広いお風呂に入る。本当にどこかの温泉に来ているかのような気分である。
サウナも完備されているが、ほとんど使ったことがないらしい。たしかに、小学生の女子が一人でサウナに閉じ込められでもしたらそれはそれで怖い。
頭や顔をそれぞれ洗ってからようやく、俺たちはとんでもない事実に気が付く。
「このままでは、体を洗えませんね·····」
水着を着ている俺たち、特に木乃花ちゃんは何も洗える状況ではない。
体を洗わずにお風呂に入るわけにもいかず、かといってどちらかが洗い終わるまで外で待つのも濡れた体では苦行である。
「水着を着たまま洗うしかない感じ·····?」
水着の中に手を突っ込み、まさぐるような形で洗うしか方法はない。
ズボンだけの俺にとっては大したことではないのだが、スク水の木乃花ちゃんには洗いづらいかもしれない。
「私は、水着を脱いでも全然構わないのですけれど·····」
木乃花ちゃんは、水でピッタリとくっついてしまったスク水を引っ張りながら言う。
俺は目のやり場に困って、少し視線を逸らしながら答える。
「そういうわけにはいかないよ。とりあえずやってみよう」
木乃花ちゃんは、ボディーソープを手に取って泡立て、手をスク水の中に入れる。
水着が小さいこともあり、少しキツそうだ。それでも木乃花ちゃんは、頑張って体をこする。
「こ、こんな感じですかね·····」
「う、うん·····」
水着に手が押し返されているようで、どうもぎこちない。
言ってしまえば、木乃花ちゃんの手の動かし方が、変態がロリをいやらしい手つきで触るのに酷似していた。
そういうシーンを見たことがあるわけではもちろんないのだが、そんな状況を連想させるほどである。
前半身を洗い終わった木乃花ちゃんが、改めて俺に言う。
「結城さん! 流石に背中は洗えそうにありません! 洗ってください·····!」
「へ·····?」
これって、犯罪、ではないよな·····?
ロリの水着に手を入れるのって、大丈夫なのか?
あ、これって、セクハラってやつ?
え? どうしよう·····。
「結城さん?」
「あっ、ごめん。今洗うね」
流れに乗せられて言ってしまったー!
もう今さら後戻りはできない。覚悟を決めろ、結城葵。
「い、入れるよ·····」
「は、はい·····」
俺はボディーソープの付いた手を、スク水の中へそっと入れる。
俺は今、ロリの背中に直で触れている。しかもスク水に手を突っ込んだ状態で。多分、こんなことは今後一生ないであろう。
「ど、どうかな·····?」
「いい感じです」
木乃花ちゃんの柔らかい肌を傷付けないように、俺は優しめになでる。
今日、俺はここで死んでもいい。
この人生に悔いなし。
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