──この気持ち、昇華しなければ

朱未(しゅみ)

0年目

いつからか、好きだったんだ

いや、本当に好きなのかは分からないけど


君と出会ったのは高校の時、クラスメイトになって

同じグループになって、なんとなくゲームで遊んだりして

ただそれだけだったね

それから5年くらい経って、今も昔とあまり変わらない

遊ぶ頻度ひんどは下がったけど、やるゲームのジャンルとか、話す内容はずっと似た様な事ばかり


5年の間、僕が君に向けていた感情は友達としての好きだった

でも、今年それが急に恋愛になったんだ

なんでだろうね?

本当に分からないんだ、なんのキッカケも無くて

いつの間にか君の事をよく考える様になったんだ


君の声を聞きたくなって、君との会話をしたくて

君の言葉を聞きたくて、君の思いを知りたくて

君と一緒に居たくって


…だけど、今はまだ、告白はしないよ


正直、僕は今まで誰かを本気で好きになれた事は無いんだ

勿論もちろん、このキャラが好きとか、こういう恋愛をしてみたいとか

そういうのはある、…というか、僕はどちらからと言うと恋愛脳だから

少しでもトキメキを感じたら、そのキャラや人との恋愛事の妄想をする

でもそれは結局『最高に楽しい瞬間』の妄想

付き合った時に起こる問題とか、すれ違いとか

そういうのも全て、確約されたハッピーエンドに向かう


うん、昔に2人と付き合ったことがある

1人は2週間ほどで別れたから、換算かんさんしていいかはなんともだけど

ただ、もう1人はあと少しで3年って所まで付き合ってた

でもその人の事も実は別に好きでは無かった

付き合った理由は「恋人持ち」という肩書きに憧れたから

よく「一緒に居たら情が湧く」とか「付き合ってから好きになった」とか

そんな言葉たちを耳にしてたから

僕もそんな風になるかなぁ、って考えていたんだ


まぁ、結局そんな事はなかった

だから僕は、自分自身を『真の愛情を持たない人間』なんじゃないかって思ってる

…こんな言い方すると厨二病とか、こじらせてるとか思われるんだろうけど

意外と真剣に悩んでるんだ


誰かの事を心の底から好きになりたい、愛したい

そしてそれと同じ様に好きになって貰って、愛して貰いたい


小さい頃から恋愛に憧れて、大きくなったら素敵な恋をするんだと

そう、思ってたんだけどね…

現実の今は、別れる瞬間も、その後も何も感じないで

ふらふらと元の生活に戻るだけ

この人と結婚したい!一生そばに居たい!

って思う様な恋愛初期衝動も無く

そういう感情への憧れを募らせるだけ


あー、まぁ…、なので今回のこの気持ちもきっと気まぐれの感情なんだと

また昔の今までの様に、いつの間にか冷めて無くなっていくものなんだと考えていて


…でも、それは現在には関係の無い話で

確かに気持ちがあるんだ


だけどやっぱり怖いから

昔と同じ事を繰り返すのは嫌だから

ちょっと前に見た漫画で知った『恋愛3年説』ってやつを試そうと思うんだ

恋愛感情は3年が消費期限ってやつ

実際には恋人関係に当てはめるものなんだけど

すがれるものにはすがりたいからさ

3年後、まだ好きで、恋から愛情になったら告白するよ

全然断られるかもしれないけど、むしろその可能性の方が高いけど

それでも、想いがあったら伝えるくらいはさせて欲しい


それまでの間は

こうやってこの気持ちを昇華しょうかさせるよ

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

──この気持ち、昇華しなければ 朱未(しゅみ) @shumi_akairo

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ