第3.5話 同棲はじめ
同棲はその日から始まった。
離宮と呼ばれる、アレクセイの白い神殿のような家で、琉生斗は住むことになった。
仲間は、王宮に仮住まいをし、徐々に希望を叶えるらしかった。
ーー人質じゃ、ねえよな。
この場合、お互いがお互いに人質になりそうだが。
風呂や水廻りの説明を受け、同棲がスタートだ。王子なんだから召使いがたくさんいると思いきや、一人もいない。
『殿下、今日はどれにします?』
『今日は君にしよう』
『あん♡』
みたいなムフフな展開はないのか、と琉生斗はちょっぴり残念だ。
「縫製室で、衣服を調達してきた。また、ルートの採寸をしてから、服を作ってくれる」
オーダーメードか、すごいな。
服を受け取り、確認する。
お、パンツ、ボクサーパンツっぽい、よかったーー。と琉生斗は一安心。服装的にノーパンも覚悟したが、黒色だし丁度よかった。
ひらひらのジャボタイのシャツやら、堅苦しそうなジャケットが、数枚。襟のないシャツも数枚。
今から何着ればいいのよ、おれはーー。
ズボンは普通なのに、上の選択肢がない。
ランニングシャツとかねえのかなー。
「風呂入っていいか?」
「あぁ」
ちょっと湯に浸かって考えよう。
そういや、昔の西洋は寝るとき男も女もネグリジェだよな。それか、リネンのロングシャツみたいなのーー。丈の長いシャツがあったわー。
着るの?おれが?
パンツいっちょで悩めるおれ。
後で着ようと、シャツは肩にかけバスタオルで髪の毛を乾かしながら琉生斗は湯殿を後にする。
「お湯の温度はどうだったーー」
自分の姿を見て、アレクセイが固まっている。
「?」
何かおかしいのか?
「ルート」
「なんだよ」
「淑女は明るいところでは肌を見せない」
ロミジュリの台詞にそういうのあったなー、結構エロいやつ。
「おれ、淑女なわけ?」
琉生斗は尋ねる。
「あぁ」
当然という、アレクセイの顔。
こいつ、イケメンだけど、かなり痛いやつだな。
「んなわけあるかーー!」
その後、琉生斗は袖が長くない浴衣のような寝衣を自分で作った。
ランニングシャツも、アレクセイの昔のインナーの袖を切って作る。
その様子を、温かい目でアレクセイは見守ったという。
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