第8話 目覚め
「そういやここってどこなの?」
浮かんだ疑問を適当にぶつけてみる。
こういうのって適当に質問するほうが案外大事なことがわかったりと、いいことがあるんだよな。
『うーん。あなたの心の中。『精神世界』とでも言えばよいのでしょうか』
「あーなんか理解した気がする。」
『それなら良かったです。』
微笑むヨル。
この流れで聞ける質問はすべてしておこう。
「あとはこんなことも聞きたくて。」
『なるほど、それは――』
〜〜数分後〜〜
『おや?長く説明しすぎてしまったようです。あなたを心配して待っている方々がいらっしゃいます。』
「ん?心配?」
『ええ。あなたはここにいる間寝たきりなので。』
「なるほど。それは心配をかけすぎたな。そろそろ帰るか。」
校長先生にもだいぶ心配をかけただろうな。
『ええ。そうしたほうがよろしいでしょう。』
「で、そのどうやって帰るんだ?」
『さあ?それはあなたの方法で帰れると思います。』
また微笑むヨル。
「??どういうことだ。」
『ここはあなたの精神世界。あなたの好きなようにできます。』
「てことは!!プリン食べ放題!!ここに住もうかな?」
『いやいや、ここに居座られても困りますから。』
「冗談だよ。ん?プリン?なんかあったような、、、あ!!そうだ奏といっしょにプリンを食べる約束だった!!やばい!」
どうすればいいんだろう。強く願うとか??
【帰りたい!!!】
そう強く願うと、眼の前に白い扉が現れる。
ドアノブ式の引き戸のようだ。
扉を開けると白い世界が見える。
「これでいいのか、、?」
『はい。たぶんこれで帰れますよ。』
「そうか、じゃあ俺はこれで―」
そう言って扉の向こうへ踏み出そうとすると、
『あっ、ちょっとまってください!一つ言い忘れていました。』
と呼び止められたので話を聞いてみる。
『あなたに与えた力についてです。私達8匹のそれぞれのスキルと武具、そしてナビゲーションシステムやその他のものもあるので、帰ったらステータスを確認しておいてください。色々更新されていると思うので。』
「ああ。わかったよ。じゃあな!」
『はい。また時がきたら会いましょう』
「おう!!」
こうして俺は扉をくぐり抜け、現実に帰ってきたのだった。
ーーーーーーーーーーーーーー
「ん、、、ふぁあーー」
大きなあくびをかましながら目を覚ました俺は、辺りを見回して――
「よかったあああ!!」
突然叫び声が聞こえたと思ったら目の前が真っ暗になった。主に奏さんのせいで、、、。
こういうとき、物語ではたわわなたわわがクッションになるはずだが、うちの幼馴染は多少控えめなため、肋骨が俺を突き刺し非常にいたい。
あと少し息苦しい。
「おい奏!痛いから離れろ!」
「べ、べつに零が起きたから喜んだわけじゃないんだから」
「奏!!俺は、プリンが食べたい!いち早く!!だから肋骨を突き刺してこないで――」
ドカァァァァァァァン!!
、、、あまりにもプリンが食べた過ぎて正直なことを言ってしまったがために医務室に大穴が空いた。
ちなみに言わなくてもわかると思うが、殴られた俺が医務室の壁を突き破り、下駄箱に突き刺さった事による穴である。
あれで本当に弓士なんだろうか、、、
「か、奏すまない。悪いと思っている。」
「ふんだ!あんたのプリン私が食べてやる!!」
「な、それだけは何卒、何卒ご勘弁を〜!!」
医務室から歩いてくる奏にスライディング土下座!!
「、、、許さない」
彼女が足を振り上げる。
「え、?」
許されなかった。
「許さないわぁぁあ!」
顔を真っ赤にしながらそういった彼女の足が振り下ろ――
されなかった。
「な、なんの音じゃ!!」
「か、奏さんなにやってるんですか!?」
校長先生とローゼ先生が来てくれたからだ。
「んーーーもう!!残念だわ!!」
いやいや残念だわ!!じゃないんだわ。
冗談じゃなんだわ。
振り下ろされてたら俺また精神世界行ってたぞ?
「上野くん!!起きたんですね!!よかったです!」
「あ、ローゼ先生ありがとうございます。」
救ってくださってありがとうございます。
本当にたすかりました。
「ホッホッホッ。よかったわい。元気そうで。」
「校長先生どこをどう見たら元気そうなんですか?」
こちとら殴られて、壁突き破って散々なんですが?
「喧嘩ができるなら元気じゃろう!」
適当すぎるだろ。
てか、これ喧嘩っていうか
「さあもう遅い。早く帰りなさい。」
「え、今何時ですか?」
「夜の8時じゃ。はよう帰ってくれんと困るんじゃが。」
ええええ!?そんな寝てたの俺!!
「本当に心配したんですから!!上野7時間も寝たきりだったんですよ!?」
「そうじゃよ。そこの奏くんなんぞ、学校が終わってから5時間ずっと君のそばで看病しておったのじゃよ。感謝するべきじゃ。」
「え、そうなのか?」
奏、、、優しい!!
「だ、、校長先生なにをっ!あ、そのあんたのために看病したんじゃないんだから。あんたに食べてもらえないプリンのためなんだから!!」
「よかったのう。良い娘に好かれておる。」
「校長先生っ!!!」
ツンデレちゃんと発動してるなあ、、、
「ほれ、はよかえらんかい!!」
っとそうだった。早く帰らないと!
「は、はい。じゃあさようなら!!」
「じゃあまた明日会いましょうね!!」
手を降るローゼ先生に手を振り返した俺は奏といっしょに帰路についたのだった。
「あ、そうじゃ。零君と奏君。この医務室と下駄箱の穴。弁償してもらうから請求書よんどいてのー!!」
なんで俺も巻き込まれてんのぉおお!?
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