第6話 一つの真実
俺はある映画館にいた。
暗い部屋。少しフワッとした椅子。
片手には映画と言ったらのポップコーン!!ではなく、プリン。
うーん。うまい。
眼の前のスクリーンには何やら映像が写っていた。
それはアニメのように第三者視点からではなく、誰かの視点。
仲間がいた。
竜?いやこれはバケモノ?を倒していた。
まさに映画をみているような感覚だった。
映像が終わった。
スクリーンが暗くなる。
それと同時に忘れてしまった。
ああ、なんだったっけ。
きっと大事な登場人物たちだ。
きっと忘れてはいけない。
なにか意味があったはずだ。
大事なことだった気がした。
が、忘れてしまった。
まあ忘れてしまったことは仕方がない。
その程度のことだったと割り切ってみることも大事だ。
そんなことを呑気に思っていると、
【――英雄の魂の存在を確認しました。空間転移します。】
そんな声が頭に響いた。
誰だろうか?
知らない声だ。
そんなことを思っていたら。
謎の浮遊感を一瞬感じた。
なんだろうと辺りを見回すとそこは、見渡す限りの白い空間が広がっていた。
真っ白で、少し眩しい。
真っ暗な場所で映画を見ていたようなものだ。
それが突然明るくなったら眩しくもなる。
立ち上がり、同時に目の前に八匹の竜が現れる。
そしてそのうちの一匹。白銀色の鱗に赤い目をした竜が話しだした。
『貴殿の力を貸してください。我らに唯一【器】として認められたお方よ。』
その声は妙に落ち着くもので、若い女性の声だった。
「あなたは、、、」
『私は世界真祖竜ヨルムンガンド。七神竜を統べし竜の真祖。真なる竜です。』
「世界真祖竜?、、、そんな竜種は聞いたことがない。」
これでも筆記試験だけは上位だ。
というか、それだけであの学園に入学したまであるからな。
だからこそ竜種の名前はすべて暗記していたはずなのだが、、、世界真祖竜など聞いたことがなかった。
『まあそこはどうでもいい。それよりも、だ。
私が託したその力。うまく使ってこの世界の大乱を食い止めてほしいのです。』
「世界の大乱って、、どういうことですか?」
『この世界は危機に陥っています。君に救ってもらいたいのです。あなたに与えた力ならソレを止められるやもしれません。。』
「俺の力?」
『あなたは真の勇者の魂そのものであり、そして我ら八神竜を従えている。そして何より授けた力は、、、まあこれは目が冷めてからのお楽しみってことでどうでしょう?』
「は、はあ。」
『さてと、まだ時間がありそうだから聞きたいこととかありますか?』
「で、では。真の勇者ってどういう意味ですか?」
『説明が難しいですね。まあ勇者は8人いました。けれどある時、邪竜の攻撃によって4人が亡くなりました。つまり残っていた本物の勇者は4人でした。
しかし、他の勇者は気が付きませんでした。
なぜなら魔竜たちは4人の勇者の魂を殺し、体を乗っ取っていたからです。
彼らが出会う前から。
そのため、我ら八神竜はソレを伝えるために4人の勇者に伝えようと向かったのですが、彼らに、魔竜達の囁きます。
「あれが八神竜。あいつらが戦争の元凶だ!!ついに襲ってきやがったか!!」
と。
まあ長年冒険して幾千もの竜種を倒してきた4人の勇者は
そして、我々は魔竜と勇者たちによって攻撃され倒されてしまった。
魔竜達は我らが復活することを恐れ、真の勇者を陥れ、彼の死をもって我々を封印した。
そしてそれから10000年後。
今から約10年前。
我々の封印は解けました。
外に出ようとしたのですが、あなたの力で無理やり押し込められまして、
自動的に契約を結ばれてしまったのです。
魔力がないあなたと結んだところでなんの意味もないと思っていましたが、
魔力より強力だが穏やかで我々を包み込むような力。
神気です。神が持ち得る力。
この力のお陰で私達は随分強くなりました。
よし。あなたにお礼を伝えねば!!と思ったのですが、あなたの体が弱く脆かったため、当時あなたを強制的に夢に連れこめばあなたの脳を傷つける可能性があったのです。
そのため、時を待ち今日この日にやっとこさあなたの【器】が適切なったので会えたのです!』
「えーと、わかりにくいのでつまり?」
『あなたは「真の勇者」で、邪竜に騙されて殺され、我々と一緒に封印されました。
今日。過去の力と我々の力が備わったので、この世界を侵食しようとしている邪竜たちを倒してください!!ってかんじです。』
喋り方がなんか軽くなった。あと少しだけ要約された?
「えと、要は世界を救えと?」
『はい。お願いします!!』
「えー、、、めんどくさい!」
めちゃくちゃめんどくさい。
『え、めんどくさい?断られるかもとは思ってましたよ?
でもめんどくさいって、、、。怖いとかはないんですか?』
「あーとないですね。けどめんどくさそうなので嫌です。
世界を救うとか難しそうだし、、、そしてめんどくさそう。何よりプリンを食べる暇がなさそう。」
『・・・もし世界を救った暁には女神様からこの世界で最も美味しいプリンをもらってきましょうか?あ、あははなーんて。そんなんでやってくれるわけ無いですよn』
「やります!!!」
喰い気味に言った。
『え?』
「やります!!!」
『ほ、本当に?そんなことでいいの?』
「そんなことってなんですか?それはプリンへの侮辱ですか?でしたら許しませんよ!!」
『いや、そういう意図はありませんが、、、。えーとわかりました。では、世界を救った暁にはこの世界で最も美味しいプリンを食べさせてあげましょう。改めて受けてくれますか?』
「はいっ!!!!!」
元気の良い返事がこの空間にこだました。
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こんにちは染々蜆です。
ここでこの物語における「竜」と「龍」について記して置きたいと思います。
まず「竜」についてです。
この物語では「竜」は2種類の意味で用いられています。
1つ目は、名前に入っている「竜」です。
これはまあ所謂ドラゴンを想像していただきたいです。
2つ目は、第0話で人類の敵として描かれている「竜」です。
これはすべての竜種の総称としています。
次に「龍」についてです。
「龍」はこの物語においては名前に入っている「龍」しかないと思います。
名前に「龍」が入っていた場合は、「辰」、所謂東洋風の「龍」を想像していただきたいです。
例:青龍など。
こんな感じとなっておりますのでご理解いただけたら幸いです。
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