第2話 程々になりたい人生だった。



「え、えとわ、私は本日のま、魔力測定をさせていただく『本葉 栞』です、そのよろしくお願いしまt........................」


「「「「「…」」」」」


生徒全員『噛んだ...』


「あ、あの先生?」

思わず声をかける


あ、俺じゃなくて奏がね?俺? 


そんなことできるわけ無いだろ!!陰キャだぞ!!


そして先生は.......固まってますね。




ちなみに栞先生の竜『鑑定竜ファニエル』は上位級で、その中でも珍しい4属性もちだとか。



「あ、あのっすいません!では皆さん成績番号順に、前に来ていただいて、」




「で、では気を取り直して、はじめはカルト・ウィルヘルムさん」

彼が立ち上がった瞬間女子たちの黄色い悲鳴が上がる。


「きゃあああああ!!カルト様ぁぁあ!!」


「こっちをみてぇええ!!」


「好き!!カルト様好き!!」


「あははは、照れるなぁ。みんなやめてよ!」


う、うざい!!


七大貴族『剣の勇者』ウィルヘイム家。


まさしく剣術の一家であり、彼の父は現役剣帝!!


その中でも嫡男であるカルトは『剣聖カルト』と呼ばれるぐらいの逸材で、初代以来の逸材と言われている。


金髪で翡翠色の目が特徴。まるで物語の王子様のような見た目をしているからなのか、、、


モテる。モテるのだ。

性格もイケメンだとか言われてるし、、


だが俺はあいつの裏を知っている。

『いやああ僕はモテすぎて困っちゃうなぁげへへ』って言ってた。


謙虚さのかけらもない。僕にもその顔面数値少し分けてくれ。

鼻だけでもいいからさ。



「で、ではこちらに手をかざしていただいて、、」


「ここかな?」


そうして彼は魔晶石に手をかざす。


「えーと25000!!すごいです!!」


先生、目が血走っています。怖いです。

そしてはじめに噛んだのが嘘のように喋り方が流暢!!


もしかして好きなことになると流暢に喋れたりするのだろうか?


「きゃあああああ!さすがカルト様!」


「カルト様しか勝たん!!」


「こっちむいてえええ!!」


うわ、手ふってるよ。ファンサかな?いやらしいねぇ。

彼はモテるのよ。

まあイケメンだし、表面上の性格もいいし。

表面上のね!


先ほども言ったが俺はやつの本性を知ってるからあまり好きではない。





「つ、続いてエルザ・ウィルドさん」

あ、先生が元に戻った。キョドってる。

そしてまたもや黄色い悲鳴。そして追加オプションで野太い歓声までが現れる。


「きゃああああ!!エルザ様!!」


「うおおおおお!!エルザ様!!エルザ様!!」


悲鳴元は『アリサ様ファンクラブ』だ。恐ろしい。

さっきのカルトのときもそうだったがこういう雰囲気は正直苦手だ。


そして彼女はアリサ・ウィルド。

七大貴族『魔術の勇者』、ウィルド家の長女。

ウィルド家は魔術を極める一族であり、彼女の母は魔帝!!

絶対的魔術理念という本を出版し、全世界に魔法を広めた一族である。

彼女もまた初代以来の器と言われている。

美しい銀髪にルビーのような赤い目。

ウィルド家には吸血鬼の血が混じっていると言われているが、あくまで噂だ。


そしてウィルド家の恐ろしいところはその魔力量。


「おーっほっほ。私の魔力とくと味わいなさい!!」


「じゅ、100000!?」


はいこの通り。

ただでさえ強い魔法打つのに魔力を大量に持つというぶっ壊れ。

才能って残酷だよね。





「つ、次の方えーと花咲奏さんお、お願いします。」


「はい。」



ちなみに奏にもファンクラブもある。

が、基本マナーが良く静かだ。俺としてもうるさいのは勘弁。

俺的にはこっちのほうが好きだ。

そして、彼女といえばの黒髪ロング清楚系詐欺。

清楚系のかけらもない彼女が、黒髪ロングとかよくない。

おまけに美人ときた。

中学生の頃期待していた俺が馬鹿みたいだったな。うん。


チラッ、、、詐欺はよくないですよね!


ギロッ


なんか悪寒がするなぁ...なぜだろうなぁ、睨まれている気がする。

杞憂であってほしい、、、。



っと俺のことを睨んでいる幼馴染も←杞憂じゃなかった。


何を隠そう七大貴族『双弓の勇者』、花咲家の長女。

七大貴族唯一の日本人であり、魔力、武力ともに神がかっていることがあり、

弓術にすべてを注いだ初代は2本の矢を一度に放って戦っていたという。

彼女の父は現在の政治を主に管理する国務大臣!!

昔の総理大臣みたいなものかな?



「判定は、、、70000!!す、すごいです!」


「まあ、そこそこね、」


さっきのアリスと比べて、落胆している彼女ですが、

この世界の正規魔導隊の人たちの魔力平均値は5000

それに比べて彼女は70000。普通に軍隊長レベルの魔力量。

それを一学生が持つとは、、、

相変わらず化け物である。



なんなら他の生徒は、、


「えーとディノさんは、、1500!!いい感じです!!」


はいこれが普通なのよ。

本来は学生でこれくらいあったら優秀なのだ。

だが、このクラスにはなぜか七勇者の末裔が三人も!!!(ここ重要)


いるのです!!!



ちなみに俺に至っては、、、

「えーと上野さんは...。0?え?0!?」

先生、そんな驚かなくても、、、


いやまあうん。竜がいないと魔力が少ないなんて当たり前だからいいんだけどさ、


でも0はおかしい。理不尽だ。


「ギャハハハハ!!やっぱりあいつ無能だわ!!ギャハハハ!」


うう、笑われてる、明らかにバカにしてるよあいつ。理不尽だ。


笑っているあいつはさっき鑑定を受けていたディノだ。


方向性をミスったロックンローラーのような紫色と金色の髪を垂直方向に釣り上げ結んでいる。


ファンションセンスを疑いたくなるような髪型を見るとつい吹き出してしまうのだが、そんな彼は一応学年順位11と好成績を治めている。


そのため、すごく殴りたいが、喧嘩しても負けるのが目に見えてるから報復とかできないのだ。理不尽だ。


才能ってやっぱり残酷だなぁ、、、と思った今日このごろでした。

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