「きらい」と言われた日
あいつに 好きじゃないよ と言われた
あいつは いっしょにいた友だちたちに
「じゃあ きらいなのかよ?」ときかれて
「うん きらいだ」と答えてた
あんまり とつぜんで
何をしていいかわからなかった
しょんぼりと ひとり 帰る途中に
目が熱くなって 涙があふれた
たいせつなものが
わたしから 逃げて行った
あいつから 電話がかかってきた
五回 拒否して 六回めで出た
「何? きらいなんでしょ」と言ったら
あいつ 「ごめん」と ひとこと
あんまり 身勝手で
電話を切ることも できないでいた
「言わされたんだ」と あいつは言った
「そんな言いわけ!」
わたしは 電話を切った
きらいだ なんて初めてじゃない
何度も 何度も けんかして
何度も 何度も 「きらい」って言った
「二度とあそばない」って 何度も言った
それで 泣いた 何度も泣いた
悔し涙を 何度も流した
でも 違う 違う 今日のは違う
胸の底が抜けて
ああ
苦しい!
「好き」の意味が変わっていく
「きらい」の意味もたぶん変わる
「好き」の意味が重くなって
いろんな気もちがねじれてまとわりつく
言わされて 「好き」じゃないと言った あいつ
やっぱり 「自分史上最長!」ってほど
眠れてないのかな?
だったら 明日……
すこし早く家を出て
あいつを待ち伏せしよう
ちょっと怖いけど
ちょっと怖い声で
「よう あんたわたしが きらいなんだって?」
「きらいなんだって?!」
「きらいなんだって?!!」
と言ってやろう
あいつは なんて言うかな?
なんて 言うかな?
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