変わっていくひとのための詩三篇

清瀬 六朗

空色の季節


 春が来て 朝はまだ寒く

 でも 外は白く明るい

 思い切って 窓を開けてみよう

 日が昇るまえ 空はもう

 輝きはじめているから


 やわらかな光りが 降るよ


 夜明けの線を跳び越えて

 ようこそ 新しい季節へ

 昨日を涙で終えたとしても

 顔を上げて 今日を迎えよう


 悲しみに立ち止まっていても

 焦って追いつこうとしても

 時は ただ前へと進んで行く

 だから わたしたちも進もう

 自分の足取りで


 心の底から思いを空へと投げかけよう

 胸の底から声を空へと届けよう

 たとえ 小さな思いでも かすかな声でも

 空はきっと受け止めてくれるはず


 やわらかな光りが 降るよ


 今日も涙の予感でも

 ひるまず 足を踏み出そう

 つらくて走って逃げてもいいよ

 そこも同じ 空の下だから


 この空の下で人は死ぬ

 でも生まれてくる命もある

 時は ただ前へと進んで行く

 だから わたしたちも進もう

 急がなくていいから


 たとえ心が冷え切っていてもその手を伸ばそう

 悲しみが胸を閉ざしていてもまぶたは開いていよう

 どんな 湿った夢でも 枯れた望みも

 きっと届くよ そして それは

 輝きのかけらになって


 やわらかな光りが 降るよ


 ここにいる

 わたしは いま ここにいるよ

 手を伸ばして

 きみの手が わたしに触れて

 ぬくもりが 行き交ったなら

 わたしたちの 空色の季節が はじまる

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