二:人類とAI



 西暦二二二四年、人類とアンドロイドの共存は崩壊し、かつてないほどの緊張を迎えていた。

 高度なAI技術の普及により、多くの職業がアンドロイドに取って代わられ、人々の生活は便利さと効率に満ちていた。しかし、その裏で反AI感情が急激に高まり、ついに一部の人々は「反AI組織」として蜂起した。



 彼らは「人間の尊厳を取り戻す」と主張し、アンドロイドの排除を目指して暴力的な行動を開始した。公共の施設での爆発、街中でのAI管理システムのハッキング、そしてアンドロイドへの集団攻撃……。これらのでき事が連鎖し、ネオ・トヨスを始めとする各都市は急速に混沌に陥った。

 政府は一部の反AI運動の声に耳を傾け、アンドロイドの活動に強い制約を課す法令を次々に施行した。その結果、アンドロイドの自由な活動は厳しく制限され、ほとんどのアンドロイドは自己防衛機能の停止を余儀なくされた。こうして、アンドロイドは次第に都市の片隅に追いやられ、まるで捨てられた機械のように存在を消されていった。



 都市の空には監視ドローンが常に巡回し、反AI組織が掲げる「人間第一」のスローガンが至る所に貼られた。その一方で、地下組織として生き延びるアンドロイドたちは密かにネットワークを構築し、反撃の機会をうかがっていた。彼らにはまだ希望があり、そして未来を変える可能性が残されていた。



 この世界は、人類とアンドロイドが不穏な均衡を保ちながら共存している。互いへの不信感が日々積み重なり、その中でかすかな希望だけが残されていた。人類は「人間性」を守るために戦うべきなのか、あるいは「共存」という未来を選ぶべきなのか。答えは未だに見出されていないが、その運命の舵を握るのは、両者の運命に深く関わる者たちであった。



 この物語は、とあるアンドロイドの生涯が人類とアンドロイドの未来に……いや、この宇宙全体の未来に、愛と奇跡をもたらすまでの物語――の序章として未来で何が起きたのかを書き記すものである。

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