第三話 ◆登場人物紹介◆(とオマケ)
【要点まとめ】
夫が女と浮気してる現場を見て、我慢の限界をむかえ、とうとう離婚する。
【登場人物紹介】
・
たおやかな美女。
・
金持ち
支配欲の強いモラハラ夫。
一人の妻、5人の妾、妓楼遊びも定期的にむかうという生活を送りながら、若い美人な
どんだけ女好きのお盛ん男や。
・
本人いわく本来は
贅沢がしたいがために、霞の夫の妾の一人に加えてもらおうとする。
企みは成功、妾として迎えられた。
・
* * *
【おまけ】
「まずい!」
豪勢な中庭で。
「申し訳ありません。」
「茶葉を変えたの?」
「いえ、若奥様……、元若奥様がお使いになっていた茶葉です。」
「ならもっとうまく淹れなさい! あたくしにまずいお茶を明日も飲ませたら、承知しませんからね。おさがり。」
家婢をさがらせる。
「ふぅ……。」
つい先日までは、毎日、この時間に元嫁がお茶を淹れてくれた。
あの嫁には、子供が作れないという点を除いて、不満はなかった。
息子に殴られた、と、顔を腫らして泣きながらここに駆け込んできた時。
(殴られたぐらいでおおげさな。)
はじめはそう思った。
でも、話を聞いてるうちに、気が変わった。
今まで息子は、手をあげた形跡はなかった。
でも、いったん手をあげたということは、これからも手をあげるだろう。
あの子の父親のように。
(しかもあの子は、顔を殴った。あの子の父親だって、あたくしの顔だけは殴らなかったのに。)
あの嫁が離婚したいと言うのを聞いて、それも良いか、と思った。
これから一生、暴力をふるわれる事に
子供のできない嫁であるし───。
何より、この嫁は、毎日、お茶の時間に、心を込めてお茶を淹れてくれた。
どんなにイヤミをぶつけようとも。
贅沢をしなれたこの身にはわかる。
あれは、使う水、お湯の沸かしぐあい、お茶の泡立ちまで、隅々に気を配ったお茶だった。
あの元嫁が淹れたお茶は、風味と味が素晴らしく、神秘的な泡立ちが豊かで、あの泡立ちのなかには計り知れない滋養がくつくつと詰まっていそうな一杯だった。
元嫁は、一度も手を抜かなかった。
それを、十五年続けてくれたのだ。
その日々がなかったら、きっと、離婚を許すという、こんな判断はくださなかっただろう。
これは、お礼だ。
(せめて、暴力をふるわれる事におびえない生涯をおくりなさい。)
↓挿絵です。
https://kakuyomu.jp/users/moonpost18/news/16818093090510025043
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます