第45話 海の底に行くには……
沈没都市アトランティスなんてどこのゲームにでも登場しそうな都市だが、ブレイブアンドレアは王道RPGなもんで、そういった王道的なダンジョンも出てくる。
ブレイブアンドレアのアトランティスは、魔法科学を極め過ぎた結果、先代の魔王に目をつけられて滅ぼされたという設定だ。
アトランティスの王がその恨みを晴らすべく、ポセイドンとして生まれ変わり、魔王へ復讐を晴らそうとする。
しかし、既に魔王は勇者によって滅ぼされてしまった。ただ、現代にも魔王が蘇ったということをフィリップが説明して、共に戦おうと誘うが、怒り狂ったポセイドンと戦闘になる。
ポセイドンはね、強かったねぇ。流石は魔法科学を極め過ぎた都市の王だ。
召喚士のリーシャが仲間にいる場合、ポセイドンを召喚獣として仲間にできるけど、安定の仲間にすると性能が微妙なパターン。
いや、だって回復なんよ。全体回復と蘇生は強いけどさ、あんだけ上級魔法をバンバン使って俺達を殺しに来ていたポセイドンが回復!? ってリアクションだったわ。それに回復ならエルメスの方が優秀だしな。
ま、ポセイドンの話は置いといて……。
「ラスボス先生がアトランティスに、か。うわー、面倒くせぇ」
ケープコッドのギャロップ寮。自分の部屋のベッドに横たわり、ついつい呟いてしまう。
「もう良いんじゃないですか。別にオメガ先生が海の底にいようがなんだろうか、どうでもよくありません?」
カルティエが当たり前のようにメイド服を着て、当たり前のように俺の部屋にいる。
薄くなっていないところを見ると、情報収集は一旦終了ってところだろう。
「いや、まぁ、俺だって本当ならラスボス先生がどうなろうがどうだって良いんだけどさ。なんとなぁく嫌な予感がするからよー」
「ご主人様がオメガ先生を追いかけるのならば私もお供しますが、海の底にどうやって行くかですよね」
「うーん……」
アトランティスに行く条件は、船と人魚のハープが必要だ。
船は確か、商業都市クレルブーネでイベントをこなして入手。
人魚のハープは船で沈没都市アトランティス付近を移動している時に、人魚のユリス・ナルダンを助けて仲間にして、初期アイテムで持っていたはずだ。
こっからそれらのイベントをこなすというのは骨が折れる。船はケープコッドの次のイベントだから割と簡単に手に入るだろが、ユリスは終盤に仲間になるヒロインだぞ。
「無理ゲー過ぎるー」
「せっかく情報を持って来てやったのに諦めるのかよ、王子」
「うお」
唐突に現れたのはセーコだ。
当たり前のように俺達の目の前に現れやがった。
「お前、どうやってここに入ったんだよ。ここ、関係者以外は入れないはずだぞ」
ワープするポストはケープコッドの学生にしか使用できないはずだ。
「私はくのいちだぞ。そんなもん関係ない」
どうやらこの世界のセーコは有能らしい。
「そんなことよりも、せっかく情報を持って来てやったんだ。諦めるのは早いんじゃないか?」
そうやって言ってのけるセーコは、仕事のできる上司みたいな雰囲気を醸し出している。
「そう、だな。セーコの持って来てくれた情報ってのを教えてくれよ」
彼女の有力な情報を聞いてから考えよう。
「これはかなり有力な情報なんだがな……」
もったいぶる前置きをしてから、ドヤっと語り出す。
「オメガ・グローブマスターは海の底に向かったらしい!!」
「「……」」
俺とカルティエの時が止まった。
「どうだ。これで動く気になっただろう」
あ、うん。やっぱりセーコはセーコだ。
「それ以外は?」
「へ?」
「それは有能なカルティエから聞いた」
「はい。私が有能です」
「まさか、自信満々にカルティエと同じ情報なだけじゃないだろうな?」
「あー、ははは、えーっと……」
どうやらそれだけらしい。うん。セーコが有能の方が怖いからそれで良いんだけどさ。
「あれだ!」
「どれよ」
「沈没都市アトランティスに行ったんだよ! あそこは魔法科学が発達しすぎた結果先代の魔王に滅ぼされた。オメガはそこでなにかをしようとししている!」
うん、大体わかってた。
「はぁ……いいよ、いい。セーコはそれでいいよ」
「むっかちーん」
お手製の怒ったサウンドエフェクトを放ち、ビシッと言ってくる。
「じゃあ、これはどうだ! 海の底にはエルフの力がいる!」
「へーへー。エルフの力ねぇ。それくらい──エルフの力?」
あれ? 人魚のユリスじゃなくて、エルフ? あっれ?
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