『ため息を花畑に』
天のため息が私のいる森に霜を降らせた
私はそのため息を
そっと空に向けて吹き替えした
その森のほほえみの根はひとつの星を輝かせた
こけむしたツリーハウスに戻り
窓を開け手を森の風に差し浸す
色鮮やかな小鳥が私の指先で羽を休め語る
私の小さな言霊をくわえ
太陽へ吸い込まれていく
その小さな影を見ながら思案にふける
あらゆる戦場の名もなき詩人たち
その消えていく足音
その届かなかった言霊を糸にあやとりをする
それは手のひらの中で
美しくも悲しい花を咲かせた
私はそれを傍らの花瓶に生けて
ひとくち水を飲む
この花はどのような水を望み
どこに根をはりたいのだろう
私は花の声を聞く
そして静かに眠りにつく
夢の中で私は花が望む場所へ行き
その花を植えて望む水をあたえた
その花は人びとの夢の中で花を咲かせて
名もなき詩人たちの想いを届けた
私の夢に現れた名もなき花たちは
今もこの心に
ある痛みとともに焼き付いている
私の命とともに息づいて花畑を波立たせている
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