第4話「転校生というイベント」

俺はすごく迷っている。アイツの手に持っている二つのパンツ。しかも純白でリボンがついてるやつだ。彼女のにやりとした顔。俺はこの状況を見られたくない。なぜこんな事になったのかというと数時間前に戻る。


「今から転校生を紹介します。」

担任の先生がすこしワンオクターブ高くなったように感じた。担任の先生もあいつを楽しみにしているのだろうか。


「転校生ってどっちかな?」


「おとこだろ絶対」


「女子の可能性も捨てきれないな」


これは俗にいう転校生イベントだ。各々が思う転校生を想像できるいっときの時間だ。

(俺だって想像したい。)

(想像したいさ。)

(だってアイツだぜ。)

(ピンクの髪で髪が繊細でボンキュッボンで・・・。)

(あれ理想の転校生じゃね)俺は劇画の顔で考える人のポーズをしながらそう思う。


「さあ入って。」


バンッ!


「たのもう!」


思いっきりドアを開けて決め顔で正面を見るあいつ。オーラを放っている。みんなの視線が彼女に向く。

スタスタと歩くアイツ。胸が上に踊っているのを感じた。


チョークに彼女は名前を書いた。


「下義山さん挨拶お願いします。」


「下義山 殺恵って言います。」

「短い時間ですがよろしくお願いします。」


(下義山・・下着山。下着の山!)

これってパンツ10枚のことを言っているような)

(待てよ殺めるに恵って)パンツを斬る(殺めて)恵みを得る。)

(今の俺の状況じゃね)

下向いて考えていた俺が彼女に目を向けると


彼女は、


(その通りだよ)のような口パクを俺にしてきた。

ふと周りの視線が気になった。周りを見てみるとみんなの視線が俺に向いていた。

(いやー俺の高校生活がぁぁぁ!)

(俺は高校生活であまり目立ちたくないのに)


「下義山さんに質問ある人」と担任の先生が言うと。


「河山さんとどんな関係なんですか?」


多分クラスのカーストが上のような人が質問をした。


「いいね♪」

「いい質問だね」

「名付け親かな~♪」

とあいつが俺に向けて言った気がしたように感じた。

またみんなの目線が俺に向けてきた。

「いやーそうだったかなー」

俺はとぼけることしかできなかった。


「あっ名付け親の息子さんだったわ。」


彼女がすかさずに言ってくれた。


【あぁぁ~」クラスのみんなが納得してくれたように言った。


「さて席は」


(これは転校生イベントである主人公の隣ってやつじゃないのか?)

(だがあいにく俺は主人公ではない。なぜなら俺の隣にはクラスメイトの時森さんがいるからだ。)


「じゃあ田名部さんの隣空いているから」

「そこにお願いね」


「ハーイ」


「よろしくね!」

「ななちゃん」

「はぁ⁉」


「私の名前、田名部 菜々海っていうの」

「まだ友達でもないのに」

「そんな砕けたあだ名で呼ばないで」


「よろしね~」

何も動じてない様子のアイツ。


昼休みになり俺は売店に行っておにぎりとパンを買いに行こうとすると。


「ちょっと付き合って」

アイツに手を引っ張っられてとある教室に吸い込まれた。


「ここで良いか」


ここは確か家庭科教室だった気がする。


バタンッ!


からくりみたいにドアが竹刀で固定されて外から開けられないようになっている。


「二人っきりになれたね」


ここは喜んだ方がいい気がするが、ここまでのことをするってことを考えると。冷や汗が止まらない。


「さぁここにパンツが二つあります」

「ひとつは核です」

「どっちかな~♪」


(俺は学校でもパンツを斬らなければないのかよ!)

【残りのパンツの枚数9?】

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る