第5話「選択」
「うーんこれかな」
「ふーんお目が高いね。」
「これにするの?」
普通のパンツ(はずれ)かもしれないね。」
(いやわかるわけないないだろ!)
(質感はどっちも一緒)
(厚さも一緒)
(逆に考えるんだ。どっちも普通のパンツだと)
(だとしたら意味なんじゃねーか)
「いつまで両方触っているの」
「いやごめん」
「ははーん♪」
「両方切ろうとしてたね」
「欲張りさんなんだから」
「欲張りさんになるんだったら没収シマース」
アイツはパンツを取り上げようとした。
「ひとつに決めますから!」
(とは言ったもののどうやって決めようか?)
ハッ!
(直感で決めればいいんだ)
(いいのか?一番頼りにならないぞ)
(でもこれにすがるしかないんだ!)
「これだ!」
「じゃあ切ってみようか♪」
「いや自分のタイミングで斬らせてくれ」
「わかった」
俺は完全に人目が付かないようなところで斬りたい。じゃないと学生生活が終わるからだ。
こういうのは1度ではない2度もある気がする。
(だが、どこにしよう?)
自分が思いつくところは人目が付くし。
(あっ!屋上だ)
あそこなら人目にも付かないし使用禁止の看板もある背に腹は変えられない。
俺は人がいない隙に屋上に行くことに成功した。
(よし!斬るか)
「誰かいますかー」
「えっ!」
「へ、変態ぃぃぃ!」
俺は声の方に目を向けると顔を赤らめた田名部さんがいた。
「田名部さんどうして?」
(いや俺がおかしいのだ。今パンツを斬ろうとしている場面でクラスメイトに見られたんだから)
「あなたって河山くんだよね?」
「違います」
「違うって?。最初に会ったじゃん」
「いや別人ですよ」
「私の目はごまかされないんだから」
(俺の学生生活終わった)
「まずははさみをそこに置いて」
「はい」
俺は弁論の余地はないと思った。
「あなたって変態?」
「はい」
「す、すす素直だね」
(あれ?なんで動揺しているんだ?)
(もしかしてもっと反論を待っていたのか?)
「パーンツ切れた?」
何か効果音が出そうなドアの開け方をしてきたアイツ。
「もしかしてあなた転校生に弱みが握られているの?」
(いやそういうわけじゃなくって)
(地球が破壊されるんだよパンツを斬らないと)
(なーんて言ったら)
(馬鹿じゃないのって成人式まで馬鹿にされるに違いない)
「トーンッ♪」
アイツは田名部さんのおでこに指を当てた。
田名部さんは力が抜けたように俺の腕に沈み込んだ。
「田名部さんに何をした⁈」
「このパンツゲームの内容をさ」
「略したな俺もまだ略さないで言っているのに!」
田名部さんはまだ寝ている。
「まだ混乱しているかな」
「あとどれくらいで起きるんだ?」
「腕が限界なんだけど」
「2分ぐらいかな」
「さぁーてちょっとお話でもしましょうか」
アイツはパンツをくるくると手で回しながらそう言った。
「パンツを回すな!」
「こういう遊びって」
「地球で言うとスピナーって言うんだっけ?」
「ハンドスピナーのこと?」
「そう!」
「なんか暇つぶせるんだよね」
アイツは回転力を強めた。
田名部さんは俺の腕を振りほどきながら体を起こした。
「変態!」
「変態じゃなかったね」
と田名部さんはふらふらとしながら立ち上がった。
(まだ脳の処理が追い付いていないのかな)
「あなたに宣戦布告をします」
「俺⁈」
「あなたじゃないわ」
「後ろのピンク髪よ」
「俺⁈」
「あなたじゃ・・。」
「あなたよ」
俺と同じマネをするアイツ。
(多分逃げられないのになぁ。)
「明日、あなたの核を斬りますかならず」
田名部さんのまっすぐな目。いい仲間になれそうだなと俺は思ってしまった。
「いいよ」
「明日が楽しみだね」
(なんだこいつのラスボス的な口調は?!)
「そうだ」
「君が選んだパンツも回収させてもらうね」
「これ核だったんだけどな残念だね」
(ナイス俺の直感。当たるもんなんだな)
(あっでも意味ないのか)
こうしてアイツと田名部さんのバトルが明日繰り広げられる。俺も巻き込まれるんだろうな。
【残りのパンツ枚数9枚】
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます