第6話:星の石を探せ!
授業が終わった後、僕とステラは転校初日の説明ってことで職員室に呼び出された。
もちろんその理由は他の生徒向けのいいわけで、本当はこの星を救うための調査について相談するため。
「ということで、これから君たちには、このすい星が落ちないようにするための調査をしてもらいますよ」
先生用のいすにすわったトラウムが言った。職員室も僕の学校と似たような感じだ。
どこの世界も学校ってこんなものなのかしら?
「私は一人でなんとかすると言ったはずですが」
ステラの言葉は相変わらず冷たい。
「そんなことも言っていられないでしょう。ことがこの星の危機です。助かるためにできることは何でもするべきと思いますが」
「それは、まあ確かにそうですが……。しかたありません、役に立つとも思えませんが、いっしょに行動することをゆるします」
こう言うセリフはお姫様っぽいなと思った。
「ありがとう僕がんばるよ。と言ってもなにからやったらいいんだろう……」
「二人にやってもらいたいことは二つあります。まず一つめは願いを叶えるための『星の石』を探すこと、もう一つは軌道がおかしくなった原因を探すこと。ですが原因はあとでもいいでしょう。まずは星の石を探すことです」
「一つ目のは最初に聞いたね。星の石が見つからない理由は後で話すって言われたけど」
トラウムを見るとなんだか気まずそうに、ステラをちらっと見た。ステラもただでさえ気難しい表情がさらに渋い顔になっている。
「話してくれるかな」トラウムがうながす。
「……そうですね。これは私が言うべきでしょう」
ステラは大きなため息をついた。なにか話したくないという雰囲気が伝わってくる。
「星の石は本来あるべきところから、消えて無くなってしまったのです」
「消えた……?」
「ええ、星の石はこのすい星に伝わる宝。とても厳重に管理されていました。その場所は、私の住む塔の最上階です。私以外は誰も近づけないはずの場所でした」
「それが、無くなったの?」
「ええ、ある日突然無くなっていました。入っていた箱には何の変化も無く、です」
「マジックみたいだね」
「ええ、魔法でも使われたかのようです。当然全力で探しましたが、まったく見つかりませんでした。なんのあとすら見つけられずにです。これは星の石を管理するべき星の姫として恥ずべきこと。なんとしても見つけなければなりません」
そうか、ステラはそれで自分で見つけるって言い張ってたんだ。自分の失敗だってそう思っているから。
「そう、だからそれを探さなくてはならない。これについては、星太くんの『みつける』力を大いに期待してますよ」
「いや、だからその見つける力って言われても何が何やら……」
「星太くん手を出してください。どちらでもかまいません」
「こう……?」
僕が差し出した手に、トラウムが何かを巻き付けた。
「腕時計?」
見た目は完全に腕時計だ。違うのは時計で針と文字盤があるはずのところに、宝石みたいなきれいな石が5つはまっていること。ちょうど12時に赤、3時に黄、6時に緑、9時に青、そして真ん中に白とそれぞれ色の違う石がついていた。
「これは私が急ごしらえでつくった『星石コンパス』です。あなたの力を利用して星の石のある方向を教えてくれるようになっています」
「僕の力をって、どうやって使うの?」
「コンパスの上にもう片方の手を当てて、星の石をイメージしながら探したいと強く念じてください。星の石は七色に光る石で、あなたの頭くらいの大きさですよ。さて、うまく動いてくれるといいのですが……」
「わかった、やってみる」
ほんとに僕にそんな力があるのだろうか。そう思いながらも、星石コンパスにそっと手を置き、目を閉じて強く見たこともない星の石をイメージする。
そして頭の中で強く言葉を思い浮かべた。
――お願い、星の石の場所を教えて!
それと同時に、手の中からあたたかさが伝わってきた。目を開けると、コンパスが柔らかく光っている。石のうち12時と3時の石が弱く光っている。
「光ってる!」
「よかった。無事動いてくれたようです。やはり星太くんには力があったようだ。この力とコンパスを使って星の石を探してください」
「これで場所がわかるの?」
「ええ、その二つの石が光っていると言うことは、そちらの方角に星の石があると言うことを示しています。近づくほどに光は強くなるはずですが」
と、トラウムが言っているうちにコンパスの光は消えてしまった。
「あ、消えちゃった……」
「おそらく星太の星の石とこのすい星に対してのイメージが弱いからでしょう。『みつける』力が十分にはっきできていないのです」
「どうしたらいいのかな?」
「これからの授業で、星太にこの星のことを全力で伝えていきます。それで理解が深まれば、よりその力を使いこなすことができるはずです」
「うん、わかった。僕にもできることがありそうでほっとしたよ……」
「よろしくお願いします。この探索は星太くんにかかっているのですから」
「まかせて! 絶対見つけてみせるから!」
とたんに元気が湧いてきた。絶対に星の石を見つけてこの星を助けてみせるんだ!
「盛り上がっているところ申し訳ありませんが、授業を待っていては時間が無駄になります。まずは方角がわかったのですから、心当たりを探すことにしましょう」
「そうだね。少しずつ探していこう! 頑張ろうねステラ!」
「助けになるのは理解しました。ひとまず、よろしくお願いしますわ」
ステラの態度が少しだけやわらいだようにみえた。
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