Day21 自由研究

 自由研究の為に、朝顔の種を植えた。観察する。芽は出ない。何も起きない。今日も同じ。芽が出た。ハート型だ。伸びてきた。父さんに手伝ってもらいながら、支柱を取り付ける。徐々に蔦を巻き始める……。

「ボクが魔法をかけてやろうか? ジャックと豆の木みたいに大きくなるよ!」

「そういうのいいから。自然な状態を記録しないと、研究になんないじゃん」

 チェッ、と舌打ちをしながら、妖精は僕の肩の上に座る。じーじーと蝉がうるさい。暑さで帽子が蒸れる。早く今日の分の記録を取って、冷房の効いた部屋の中に戻りたい。

「……ていうかさぁ」

「何、今忙しいんだけど」

「朝顔なんかより、ボクの方が、よっぽど珍しくて研究しがいがあるって思わないの?」

「だって君は友達じゃん。友達のこと研究する奴なんか、いないだろ」

 変なこと言うなよ、と言いながら、雑に今日の朝顔の絵を描き終える。昨日と変わりなし、でいいじゃんなぁ? と話しかけても、妖精はしばらく返事をしなかった。


「なんか、金色の粉舞ってない? 鱗粉?」

「えーっ、なにが? 気のせいじゃないの〜?」

 羽のない妖精は、スケートみたいに足を滑らせながら小躍りしている。おかげで算数ドリルがちっとも進まない。何がそんなに楽しいのだろう。いいことでもあったのかな?

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