Day21 自由研究
自由研究の為に、朝顔の種を植えた。観察する。芽は出ない。何も起きない。今日も同じ。芽が出た。ハート型だ。伸びてきた。父さんに手伝ってもらいながら、支柱を取り付ける。徐々に蔦を巻き始める……。
「ボクが魔法をかけてやろうか? ジャックと豆の木みたいに大きくなるよ!」
「そういうのいいから。自然な状態を記録しないと、研究になんないじゃん」
チェッ、と舌打ちをしながら、妖精は僕の肩の上に座る。じーじーと蝉がうるさい。暑さで帽子が蒸れる。早く今日の分の記録を取って、冷房の効いた部屋の中に戻りたい。
「……ていうかさぁ」
「何、今忙しいんだけど」
「朝顔なんかより、ボクの方が、よっぽど珍しくて研究しがいがあるって思わないの?」
「だって君は友達じゃん。友達のこと研究する奴なんか、いないだろ」
変なこと言うなよ、と言いながら、雑に今日の朝顔の絵を描き終える。昨日と変わりなし、でいいじゃんなぁ? と話しかけても、妖精はしばらく返事をしなかった。
「なんか、金色の粉舞ってない? 鱗粉?」
「えーっ、なにが? 気のせいじゃないの〜?」
羽のない妖精は、スケートみたいに足を滑らせながら小躍りしている。おかげで算数ドリルがちっとも進まない。何がそんなに楽しいのだろう。いいことでもあったのかな?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます