Day14 さやかな
遊ぼうよ、と彼はいつも真夜中に窓を叩く。僕の部屋のある二階まで、軽々と、まるで重力など存在しないかのように。
「僕は飛べないよ」
「じゃあ、君の部屋で遊ぼう」
お決まりのやり取り。彼に手を差し伸べられても、僕は外に飛び出す勇気がない。例え毎日の塾通いに疲れ果て、何をしても褒めてくれない両親に失望し、友達とはどんどんギクシャクしていくような日々でも。
「じゃあ、また明日ね」
部屋の中でトランプをしたり、しりとりをしたり、時には別々に本を読んだり。遊びといっても他愛のないもの。満足すると、彼は再び窓枠に足を掛ける。
彼が何者なのかは知らない。幽霊なのか、妖怪なのか。それなのに、僕はいつも彼を招き入れてしまう。
きっと、街明かりを背に手を振る彼の笑顔が、あまりにさやかなものだから。星のように煌めくそれに、僕が救われてしまっているから。
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