Day13 定規
ケンちゃんの尻尾大きいね。ユニ君も角長いよ。定規を取り出して、互いに測り合う子供たち。ほらこんなに、と言い合う以上の意味はない。ケンちゃんはケンタウロスで、私にはない馬の下半身があったし、ユニ君はユニコーンで、白くてきれいな角があって。みんなそれぞれに『特別』があって。
何もない私は曖昧に笑って、みんなすごいね、綺麗だねって言うだけ。みんなは友達だけど、私とは違う特別な存在なんだって思うと、少し寂しい気持ちになった。
「ひーちゃんも、こんなに綺麗な長い髪」
俯いていた時、ふわりと鼻先に花の香りが触れた。見上げると妖精のしーちゃんが、小さな両腕で定規を掴みながら、ふわりとそばを飛んでいた。母が毎朝結ってくれる、私の長い三つ編みのそばを。
「アハハ、測れないや!」
クスクスと空中で笑い転げる姿に、私はおかしさと、恥ずかしさと、嬉しさを同時に感じて、真っ赤になって笑った。
私にもちゃんと自慢できる『特別』があったのに、自分自身で気づいていなかった。
「しーちゃんも、こんなに綺麗な大きな羽」
自分の指先で、しーちゃんの羽を撫でる。彼女はくすぐったそうに笑いながら、キラキラと輝く光の粉を振りまいた。
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