第17話
「口が悪いな。まあでも、四六時中聞きたくもない声を聞いてたらそうなるかな」
寧ろ、少女の前では一貫して〝いい子〟のままでいるのが痛々しく見える。
まるで、飼い主に愛想つかされ捨てられることを恐れている子犬のよう。
いや、この表現は些か的を得すぎている。
少年の境遇を思えば、そんな卑屈な思考回路になるのも致し方ないが。
問題は、個を殺すほどのその努力は実際は何の意味を成さないことだ。
少年が思っているほど、少女は少年に対して関心がない。
関心がない、それはすなわち少女にとってその程度の価値しかないということ。
年相応と言えばそれまでだが、今の少年の不完全さは危うく、いつ身を滅ぼすことになってもおかしくはない。
隙あらば悪態を吐き、存在レベルで嫌いな男にガラ空きの背中を見せるのも如何なものか。
「ーーああ、いっそ修復不可能なまでに壊れて、僕だけの傀儡になってくれればいいのに」
対峙した者を例外なく不快にさせる軽薄な笑みを浮かべる男の目は、無機質な光を放っていた。
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