第16話
「仕事だよ、仕事」
「今片付けてきたばかりなんだけど」
「安心しなよ、君の能力を使えばすぐに終わる」
「‥‥」
「ジャンヌちゃんの目が覚める前には戻ってこれると思うよ。尤も、君が上手くやれればの話だけど」
「‥‥」
「どうするの?ーーお金、欲しいんでしょ?」
言語を覚えた当初は事あることにキャンキャンと子犬のように噛み付いてきた少年は、少しは我慢というものを身に付けたらしい。
それでも、不機嫌丸出しの顔で目一杯睨み付けてくるところは年相応と言うかなんというか。
「お前さ、毎度のことながら普通に喋れないわけ?なんで一々腹立つ物言いすんの?趣味?だとしたら性格が悪すぎるんだけど。まあ、お前の性格の悪さは今に始まったことじゃないけどさ」
普段は決して口数が多いわけでもないのに、挑発すれば負けじと口が達者になるのはいつまで経っても変わらないようだ。
弱い犬はなんとやら、小物ゆえに扱いやすくて助かると肩をすくめる。
「君こそ、もっと立場も弁えるべきだよ。言葉すら理解していなかった君を保護するに当たりあの子と僕の間に何かしらの契約が交わされたことには流石に気付いてるんでしょ?」
「‥‥」
「雇い主には順応であるべきだよ。これ以上ジャンヌちゃんの手を煩わせたくないならね」
「‥‥っ」
「ほらほら、分かったなら早く行きなよ。君の大好きなジャンヌちゃんとの時間が無くなっちゃうよ?」
「‥‥くたばれ、クソ猫」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます